《絶望の果てにあるもの》 (怨魔インキュバス) 18禁 Written by 陣風 |
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 繁華街から少し離れ、めったに人が通らない空きビルの屋上。 ネオンで星が見えない空。ただ、ぽっかり三日月が西の空に浮かんでいる。 「たすけて!離してぇ!」 その屋上で、制服から女子校生ととれる女が3人の男に囲まれている。 しかし何故・・・この女はこんな所にいるのだろう。 「お前が1万なら良いって言ったんだぜ。嘘ついちゃイケネーなぁ!」 「別にHするなんて言ってないでしょ!それに何でこんなに人がいるのよぉ。やめてよぉ。帰るっ帰るっはなして!」 エンコーでもしてたのか・・・ なんにしても金の為に知らん男にノコノコついていくバカ女・・・自業自得だな・・・ まぁ暫く眺めるか・・・ ビリリィッ!!! 逃げようとした少女のスカートを長身の男がつかんだ拍子に破れ、やけに目立つ白いパンツと小麦色の艶やかに光る下半身があらわになる。 女はたまらず、肩から転倒しお尻を突き出した状態で倒れ込んでしまった。 「いいねぇイヒヒヒ、そのプルルンとキュッ!お嬢ちゃんいいよぉぉぉぉぉぉ!」 眼鏡をかけ、白衣を着せたら医者にみえそうな痩せぎすの男がビデオを撮りながら言った。 プルルン?キュッ?はて・・・お尻と足首という事だろうか? 久々の楽しそうな宴を目にしてつまらない事を考えてしまったな。 まぁ気にしない気にしない・・・ 「・・・」 大柄な体つきのアメフトマンみたいな男が女の手足を無言で縛ろうとする。 「イヤダ!はなせっ!ハナセーッ!」 女は手足をバタつかせ必死に抵抗する。 しかし力では敵わないようだ。少女は床に押さえつけられ後ろ手に縛られる。 肩まである長い黒髪が柔らかく床に広がり女の顔を覆い隠した。 「さぁて・・・では、”女子高生!放課後強姦クラブ!”メインを撮ろうか。」 なんだぁ・・・良くある話だね・・・ アダルトビデオに無理矢理出演させられるタイプ・・・ そう言えば前の餌は一回出演した後、強請られて売春を強要され、挙げ句には自殺した女だったな・・・ お父さんやお母さんが泣いてるよ。ホントに・・・ まぁそのお陰で俺は生きていけるんだが・・・ そう、俺は、インキュバスは怒り、絶望、悲しみ、苦しみといったマイナスエナジーを吸収し生きているんだ。 一般的には精力を吸い尽くす色欲の悪魔って言われているけど実際の俺は違っている。 まぁ原人がヒトに進化したように、我らも環境に適応し進化してきたってことだな・・・ まぁいいか、そんな事・・・ この俺がここにいるという事はつまり、この女も俺の餌になる予定なのだ。 この香りではあまり良好な餌ではないようだが・・・ 「ヒッッ!いやよっ・・・いや・・・や・・・ゃ」 女はこれから起こる出来事に耐えられずガタガタ震えている。 「イヒヒヒ・・おびえろ・・オヴィエロォー・・ヒヒヒヒ」 痩せぎすの男が恐怖心を煽りながら、女の尻を撫でた後ペロッと舐める。 「ヒィーッ!ヤダッ・・・タスケテー!」 「騒ぐな!殺スゾ!」 「ヒッ・・・」 チョロチョロチョロ・・・ 首筋にナイフをあてられた女が失禁する。 「あぁ汚ねーなぁ。沙耶香ちゃん、お漏らししちゃってるよ。へへっ。」 「イヤッ・・みっ・・見ないで・・・」 「はしたねぇーな。沙耶香ちゃんはー。ほらバッチリ写ってるぜぇ。」 「トッ!とらないで!お願い!いやっイヤー!」 「大丈夫だぜぇ。そのうち好きになるからよぉ。へへっ。」 この女は沙耶香と言うのか・・・ 長身の男は沙耶香のパンツを下ろし秘所を弄りだす。 「やっ!やめてーいやだ、いやだよぉー・・・ヒック・・・」 上半身をアメフトマンに押さえられている為、泣きながら一生懸命お尻を振って男の手から逃れようとする。 「イヒヒヒ・・・イロッぽいヨォ・・・もっとふれよ。ヒヒヒヒ。」 痩せぎす男がビデオをまわしながら興奮している。 「もっと振らねぇか!」 男の手が秘所の奥へと進んでいく。 「イタイッ!ヤメッ!イタイッイタイ!」 いきなり奥に入れられた沙耶香は強烈な痛みに思わず叫ぶ。その声を聞いて男が手を止める。 「気持ち良くしてもらいてーよなぁ。へへっ」 沙耶香は荒い息をして「うんうん」と首を振る。 「じゃーもっと腰を振れよ!沙耶香ちゃん。」 沙耶香は涙目で「嫌だ」と言いたそうに訴えながら「うん」と頷く。 「イタッ・・イタイ・・いたぃ・・・ぃたぃ・・・」 男の手が再び滑らかに挿入されると最初は痛いと鳴いていた声が徐々に弱々しくなり、そのうち男の手の動きに合わせ腰を振るようになった。 「・・・いぁん・・・いやぁ・・・あぁん・・・」 「感じながらイヤだってよ。ヘヘっ、沙耶香ちゃーん止めて良いのかぁ。」 「ぃやぁ・・ゃめて・・だめぇ・・」 沙耶香はどちらとも言えない返事をする。 「グチョグチョだぜ。卑らしい女だな。沙耶香はよぉ。へへっ」 そろそろだと思った長身の男がズボンを脱ぎ、秘所のまわりを自分の息子でなぞった後、バックで挿入する。 「おぉこれは・・良い・・ねぇ。うぉらっ・・・」 弄られ濡れた秘部は男を難なくその奥へといざなう。 「あひぃ!ぁぁん・・あぁぁ!・・あっ!・・あっ!・・」 男の抽奏にあわせ腰を振る淫らな自分への羞恥と犯される快感に沙耶香は翻弄される。 「なんぁ・・へぇん・・ぁひぃ・・いぃ・・」 「なんだぁ。もっとほしいのかぁ!うぉらうぉら・・・」 「だぁめぇ・・ぁひ・・ぁへ・・ひ・・ひ・・」 「ほらっ悶えろ!淫らな雌ブタめ!!」 男が抽奏を早めた瞬間、 「いくぅ・・だぁめぇ・・いぅぅぅぅぅ!・・あぁぁ!だめぇ!だめぇぇぇぇぇ!・・・」 沙耶香の体が大きくのけぞり痙攣したかと思うと一気に脱力する。 涎を垂らし、涙の溢れたうつろな目で虚空を見ながら今までの人生で感じた事の無い最高の快感に酔いつぶれる。 「おいおい。そりゃぁ無いぜ。沙耶香ちゃん。早すぎだっちゅーの。いくら感じやすいからってそれじゃいけねぇなぁ。」 「イヒヒヒ・・けド良いヨォ・・こレ・・なんか凄くヨク取れたし・・ヒヒヒ」 「だめだ。こんな程度じゃ。普通のビデオじゃ売れないんだ。世のエロ共はもっと凄いものを望んでいる。」 「へへっ。しゃーねぇな。もういっちょ行くかぁ。」 男は脱力した沙耶香の後ろ手の拘束を解いて今度は前から挿れる。 「あぁ!・・あぁ・・あっ!・・あっ!・・」 沙耶香は自分の意志とは反し体が条件反射で快感を貪るのを止められなくなっていた。 「おぉ!まだまだいけるじゃねぇーか。そらそらっ!」 「あぁっ!もぉぉ・・いぃぃ・・ほしぃぉ・・」 「あぁん・・ぃい・・はぁん・・あひっ・・ひぃ・・」 沙耶香は長身の男をきつく抱きしめ腰のあたりから迸る快感に酔いしれる。 「いぃ・・いぃ・・いぃのぉ・・ぁはぁ・・あぁぁ・・」 「いくっ・・いくのぉ・・もっとぉ・・もぉっとぉ・・・」 「くそっ!いき・・そう・・だぁ・・」 「あぁ・・もぉとぉ・・いぃ・・あぁ・・あぁぁ・・・」 「いぁ・・ぃひぃ・・ぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ドク・・ドクッ・・ドクッドクッ・・・ 沙耶香と男は同時に痙攣し互いに恍惚の表情で脱力する。 「へへっつい中に出しちまったぜ・・。悪いな・・・ん?・・・どうしたんだぁ!?」 沙耶香が男を強く抱きしめて離そうとしない。そして生気を放出し萎えてきた肉棒にまとわりつく襞が更に激しく脈動し肉棒をしごきあげる。 「うはぁッ・・・」一度イッたにも関わらず男は背骨から立ち昇る快感の波にあられもない声を出した。沙耶香はあまりの快感に絶えられないのか白目を向いて腰を上下に振りだした。 「あぁぁ・・だめぇぁぁあああ・・・あへぇ・・ひぃ・・」 グチュ・・グチュゥゥ・・・・・・グチュ・・グチュ・・・ 「あはぁ・・ひぃぃ・・ぁあ・・だぁめぇぁ・・・だぁめぇ・・・」 グチュ・・クポッ・・クチュ・・グチュ・・・・グチュゥ・・・ 「ふんぉぃ・・・ひぃぃぃ・・はぁぇぁぇぁあああああ!!!」 グチュ・・・・ギュチュ・・ジュジュジュジュウゥゥゥゥ・・・ 沙耶香はエビが跳ねるような激しい痙攣を起こすと勢い良く潮を吹いて力尽きる。 まぁまぁだな、不味くはない・・・ しかし、悪魔より酷いやつらもいたもんだな・・・ マイナスエナジーを食って生きる俺の方がまだ良いやつじゃないか・・・ ねぇ違うかい?そこで見ている、あんた・・・そうそう、あんただよ・・・ えっ?違うかい?・・・賢いね・・あんた・・・ おおっと!悪魔払いみたいな事はやめてくれよ。楽しませてやるからさ・・・ それはそうと、この女にこんな潜在的なエネルギーが有ったとは・・・楽しみだ・・・ 「カぁートォぉ!!!」 「今までの中で最高のできだな。これで暫く何とかなりそうだ。」 「イヒヒヒ、バッチリだヨねェ。良い女だネぇ。俺も犯ろオぉ、ヒヒヒヒ。」 「好きにしろ。後はまかせる。」 「アリっ!張りきりすぎて殺すんじゃねぇぞ!!それと沙耶香ちゃーん。これは秘密だよぉ。ヘヘっ。まぁバラしたらどうなるかわかるよねぇ。学校にあんたの淫らな映像を送るよぉ。先生にバレたらどうなるかなぁ?人生つぶしたくはないだろぉ。じゃーねぇ。」 そう言うと大柄な男と長身の男は屋上から姿を消した。 「じゃア続きヤロうカぁ・・・ヒッヒッヒッ」 「・・・」 沙耶香は快感と屈辱の涙で歪んだ夜空を見つめ、痩せぎすの男のなすがままに時を過ごした。 「オイシかッたヨォ〜、お嬢チャン。ヒッヒッヒッ。ジャ〜またネェ〜。」 沙耶香は虚空を見つめたまま「またネ」の言葉にピクリと体を震わせる。痩せぎすの男は機材をまとめ何も無かったかのように、そのまま屋上から消えた。 「うっ・・・うっ・ううっ・・ック・・・ック・・・」 男の気配が消えやっと安心できる状況になったのか、沙耶香は容赦無い責め立てに痛んだ裸体を抱きしめ、震えながら泣いた。 クックック。あの男まだなんかしそうだな・・・ 沙耶香は両親と自分の3人で暮らしている。両親は共働き。帰りはいつも遅く家庭内ではほとんど話をしない。沙耶香は両親からしっかりもので手間いらずと思われているが、根は寂しがりやでもっとかまって欲しいと思っていた。彼女には大好きな恋人がいるが、最近男友達とばかりつるみ相手にされない状況になっていた。だから、はらいせに他の男と軽く遊んで発散しようとしていたのだが、タチの悪いのに引っかかってしまったのだ。 最初は長身の男に「1万出すからちょっと遊びに付き会ってくれない?」と誘われ「大丈夫かな?」なんてドキドキしながらも楽しくゲームやカラオケなんかで遊んでいたのだが、「景色が綺麗な穴場が有るんだけど、一緒に行ってみない?」なんて口車に乗せられて連れて来られた結果がこれだ。 「ただいま・・・」 沙耶香はクシャクシャになったセーラー服を着て、スカートの破れた部分は手でつかみずり落ちないようにして普通を装い家までたどり着いた。家は人並の一戸建て。玄関の扉を開けると暗い廊下がある。その先にある階段から2階の自分の部屋へ向かう。 「どうしよう・・・」 アリと言う男の最後に言った言葉が気に掛かった。強請られて今日みたいな事をさせられるかもと思うと急激な不安に駆られる。 「大、だい、ダイジョウブよ・・・」 また体が震えだしてきた。 「ダイジョウブ、ダイジョウブ、ダイジョウブ・・・」 沙耶香は自分に言い聞かせるように何回もつぶやく。しかし震えはいっこうに止まらない。 「体、洗わなくっちゃ・・・」 とにかく体の汚れを落とす事で、不安な気持ちを切り替えようと思いバスルームに向かう。 そしてシャワーを浴び、体を洗おうとすると、 ガチャ・・・ゴト・・・ 玄関の方で音がした。 「なっ何!えっ、嫌・・誰!?・・来ないで!!・・いやぁ!!!」 いつもなら気にもかけない、ちょっとした物音が沙耶香の不安をかきたてる。「もしかして、あの男たちがついてきて家に入ってきたのでは!」と言う妄想がよぎり、頭を抱え半狂乱になったままお風呂の扉を開かないように必死で押さえて叫ぶ。 ドドドドドドドドッ 誰かが走り寄ってくる音。 「イヤァ!コナイデッ!ユルシテ!イヤッ!イヤァァァァァァ!!!」 ドンドンドンッと脱衣所の扉をたたく音が聞こえる。あまりの恐怖から沙耶香は何かが壊れるような感覚を感じ、目の前の情景が真っ白に光ったかと思うと暗闇に包まれていった。 「こ・こ・は・・何処?」 気が付くと薄暗いビルの屋上。良く見ると今日見た風景だ! 「ヒッヒッヒッ、お嬢チャ〜ん。こッチだヨォ〜。」 痩せぎすのアリとか呼ばれていた男が現れ手招きする。 沙耶香はそっちに行きたくないのに体が勝手にその男の方へ歩み寄っていく。自分の体が別の精神に支配されているみたいだ。 「助けて!いやなの!そっちは嫌!嫌よ!イヤー!」 アリの体が大きくなり、眼鏡を光らせながらニヤリと笑って迫ってくる。 「モう、オ前ヲ、ハナサナイよォ!」 アリが沙耶香の服を脱がしながらそう囁き沙耶香を愛撫する。沙耶香は体の自由がきかず、アリのなすがままに胸を揉まれ秘部を触られ鳥肌をたてる。 「イッ!イヤァァァァ!」 ガバッ! ものすごい勢いで起きた沙耶香の目の前に母親と、呼ばれてきたのであろう医者がビックリした表情で見つめていた。 「大丈夫?沙耶香。私が帰るとすぐに風呂場から悲鳴が聞こえたから、慌てて行くと倒れているんですもの。何かあったの?」 非常に心配そうな表情で母「茂子」が見ている。 「ううん。何でもないの。大丈夫!大丈夫よ心配しないで・・・」 今日の事は誰にも知られてはいけないという強迫観念から沙耶香は平静を装う。 「そうなの?本当に大丈夫?何かあったら話すのよ。沙耶香。」 そして医者と母親は部屋をでて何やら話している。医者からアドバイスを受けているようだ。 「なんだ・・・お母さんだったの・・・良かった・・・フゥ・・・」 安心したら眠くなったのか沙耶香はそのまま眠りについた。 次の日、いつものように学校へ登校。のどかな春の陽気に眠い目を擦りながら沙耶香が歩いている。 「よっ!さ〜や〜か〜ちゃ〜ん!」 「ヒッ!イヤ!!!」 「ウグッ・・・」 慌てて鞄を振り回す。それが恋人「瞬」の顔面を直撃! 「いって〜なぁ。今日はやけにいらついてんじゃん。どうしたの?」 赤くなった鼻を擦りながら痛そうにしかめっ面して言う。 しかし沙耶香の方は胸を押さえてうずくまってしまった。 「エッ?どうしたの?大丈夫か?沙耶香。」 「ビッ、ビックリさせないでよ!驚くじゃない!」 「なんだよ!驚くほどのもんじゃねーだろ。」 フンっと足早に行ってしまう。 「まだ、ドキドキする・・・」 沙耶香は瞬の後ろ姿を見つめながら胸が苦しくなるのをじっと堪えた。 キンコンカンコン〜♪ 「では、これでホームルーム終わり。起立!礼!・・・気を付けて帰れよ。」 皆、帰り支度を終わらせ、教室から出始める。 「ふう〜やっと終わったぁ。そういや今日、沙耶香の調子がおかしかったな・・・。最近あんまし会ってなかったし、相手でもしてやるかな。」 瞬が沙耶香の方を見ると今も何か思い込んでいるようでボ〜っとしている。 「フフフッ・・・チャ〜ンス・・・」 瞬はそう言うと教室の一番後ろ、沙耶香の所へそっと近づく。 「わっ!」 沙耶香が振り向いて「驚くじゃない!」と軽く怒って瞬がゴメンゴメンと言うストーリーを瞬は思い浮かべていた。しかし沙耶香はビクッ!と大袈裟なくらい飛び上がると、振り向きながらパタリと倒れた。 「えっ?あの・・その・・沙耶香。どうしたのかな〜?」 どうやら気絶してしまったようだ。 「おい・・・チョット〜?」 まわりの喧騒がピタッと止みシ〜ンとする。ジトーっとまわりから送られる冷たい視線・・・。瞬は沙耶香を抱えてとりあえず保健室に運んだ。 「そんなに驚くほどのもんか?どうしたってんだよ。まったく・・・」 暫くすると沙耶香が目を覚ました。 「私・・・どうしたの?」 「あのな。ちょっと脅かしたくらいでなんで倒れるんだよ。参ったぜ、ホントに・・・」 自分がした子供っぽい行為について棚上げして言う瞬。 「ごめん・・・なさい・・・。」 沙耶香はうな垂れて目から涙をこぼす。 「おいおい、泣くほどのもんじゃないだろ?どうしたんだよ。いつものお前らしくないじゃん。なにそんなに脅えてるんだよ・・・。言ってみな聞いてやるからさ・・・。」 「ごめんね・・・ごめんなさい・・・」 「謝ってても解決しないだろ。しっかりしろよ。」 「でも・・・ううっ・・・」 「俺じゃ力になれないのか?」 「違う・・違うの・・・瞬・・・お願い一人にして・・・」 瞬の優しさが沙耶香の心を苦しくする。今は瞬の前から少しでも離れたかった。 「心配してんのにそんな言いかたは無いだろ!」 心配している瞬の気持ちを受け入れてくれない沙耶香と、何もできない自分に腹が立ち、瞬は乱暴に言い捨てると保健室から出ていった。 「ごめん・・ごめんね・・瞬・・・ほんとに・・ごめんね・・・」 沙耶香は溢れる涙を手のひらで拭いながら声をあげて泣いた。 美味いね・・・結構いい味だな・・・ 辛いよね・・・一回歯車狂うと怖いんだよ、この世界は・・・クククッ 夕方、やっと心が落ち着いた沙耶香が家路につくと校門で瞬が待っていた。家の方向が同じなので途中まで一緒に歩いて帰る。 「さっきは悪かったな・・・何もできない自分に腹が立っちまってよ。まぁ気にすんなよ。」 頭を掻きながら照れて言う。 「ううん。私の方が悪いの・・・」 「良いって良いって、お前が話したくないんだったら話さなくていいよ。」 「ごめんね・・・ごめん・・・」 「あぁ辛いなら。他の話しよう・・そっ・・そうだ、昨日やってた番組・・あれ?なんだっけかな・・・」 悲しそうな顔をする沙耶香を見て慌てて話だす。 「ありがとう・・・」 沙耶香はそれに力のない笑顔で答えた。すると、もうお互いの家の分岐点の道にさしかかろうとしている。 「今日、一人で帰れるか?」 「良かったら一緒に帰ってくれると嬉しいな。」 「しょうがない。送ってやるよ。」 その後も「何が有ったのか」には触れず、他愛も無い話をしながら帰った。 話しに夢中になりながら帰ると早いもので、瞬が気がついた時にはもう沙耶香の家の前まできていた。 「話していると時間が経つのって早いね。じゃここで・・・」 「うん・・・あっ・・待って・・・」 帰ろうとする瞬に言う。 「何?寂しいの〜♪そばで温めてあげようか〜♪」 いつものふざけた口調で聞き返すと 「うん・・・」 沙耶香は恥ずかしがりながら小さな声で言う。 瞬はいつもの明るいノリで「そんな訳無いでしょ!」って怒られるかなと思っていたので何かキツネに化かされたような感じだったが、「素直な沙耶香もいいな。」と安易に喜んだ。 「しょうがないな。少しの間ついててやるよ。」 そして鍵を開けて家に入る。 「どうぞ、中に入って・・・」 瞬が玄関に入ると沙耶香はすぐに鍵を閉める。 「おじゃましま〜す」 瞬は鍵を閉めなくてもいいのにと思ったが、もしかすると最近流行のストーカーににでも付け狙われているのかと思い靴を脱ごうとかがんだ瞬間。 「なんだ?これ・・・」「!」 床に写真のような紙が落ちている。瞬はそれを拾い上げて裏を見ると凍りついた。 沙耶香も紙を横から見て絶句する。 長い沈黙の末、瞬が口を開いた。 「これは・・・どういう事・・なんだ?・・サヤカ」 「動揺」と「怒り」の混在した目で沙耶香を見る。 写真にはカッコいい部類に属するであろう黒髪の日系人に乳首を吸われながら涎を流し気持ち良さそうに喘いでいる沙耶香が写っている。 「・・・」 沙耶香は瞬に見つかってどうしようと言う焦りから頭が真っ白になってしまう。 なるほど・・・あの男達・・そうとうな悪だな。お陰で助かるよ・・・ 沙耶香はこの男を愛しているようだが、男の方はどうだか・・・クックックッ 人間の愛情など薄っぺらい。ちょっと揺さぶればすぐ壊せる。この男はまだマシなようだが、ここで終わらせてやろう・・・ 愛する者から傷つけられ絶望に陥ちた心ほど美味い物はない。もっと悲しみ、苦しめ!そして永遠に俺の餌となって生きるがいい。 そうだ、男の方にも少し狂暴な精神エネルギーを送ってやるか。俺の事が見える、あんたのために、欲望むきだしのSEXとやらを御披露しよう・・・ クックックッ・・・ 「弁解ぐらいしろよっ・・・沙耶香!」 怒りに震える手で沙耶香の胸ぐらを掴んで、壁に押し付ける瞬。睨み付ける目が怖い。 「ごめんなさい・・・じつは・・・イタッ!」 沙耶香が事情を話そうとした時、急に強い力で胸を揉まれ言葉を途切れさせる。 「良いんだろっ!したいんだろっ・・・ヤラセロヨ・・・」 怒りの形相で沙耶香を睨み付ける。瞬の表情から昨日のレイプがよみがえる。瞬の手を掴んで引き離し、脅えた子供のように震え座り込む沙耶香。 バンッ! 瞬は壁を殴ると鍵を開けて外に出ようとする。 「待って・・待ってよ!!!」 このままでは瞬に嫌われ、二人の仲が終わってしまうと咄嗟に思った沙耶香は叫んだ。すると瞬の動きが止まる。 「好き・だよ・瞬・・しても・いいよ・だから・・ゆる・して・・」 瞬に許してもらえなかった時の恐怖と、瞬の形相で呼び起こされたレイプの恐怖から震える手で、沙耶香はゆっくり制服を脱ぎ始めた。 「アァユルシテヤルッ!ハはっ。気持ヨ良クサセテヤルヨッ!」 振り向いた瞬の目には怪しい光が宿っている。しかし今の沙耶香は制服のチャックを掴む事でさえ困難なほどに震えて、瞬の異変に気付く余裕など無い。 「ハはっ。お前イロッポクナッタナっ!さすが淫乱なだけあるよッ!!」 「そんなこと・・いわなアッ!」 上半身を脱いだところで瞬が覆いかぶさってくる。そして顔をぶつけるようにキス、暫くすると唇を押しのけて舌が入ってきた。 「んンッ・・ングッ・・・」 もうこれ以上入らないぐらい深く舌と舌を絡めさせる。気持ちの奥で何となく安心感が芽生えているような感じがする。沙耶香は目を閉じ、自然に体の力が抜けていった。 「あはぁっ!」 乳首をコリコリと弄られ繋がっていた唇が離れる。瞬はその離れた唇を乳首に這わせ乱暴に吸う。 「あぁ・・や・さし・・うあぁ・・」 「ハはっ!感ジヤスインダナッ!オ前ガコンナニ淫乱ナ女トハ思ワナカッタヨ!」 「いわな・い・・・あぁぁぁ!」 その上に股間に手を這わされ、ゾクゾクっと快感が突き上げてくる。暫くするとジュクジュクっと音が聞こえてきた。 「ハはっ!モウ濡レテキタゼ、マッタク!」 スカートを捲りパンティーに走っているシミに指を押しつけ無理矢理指を押し入れようとする。 じゅるっ・ジュク・・・ 「あぁ・・やさしくっ・・あ・あぁぁぁ・・・」 「良イダロッ!ココガ欲シガッテルゼ!」 そう言うとストッキングとパンティーをずらす。下の唇から粘液が垂れる感触。 「いやっ・待って・・・イッ!イタイっ!」 恥ずかしさから体を横に向け膝を抱えるように丸くなろうとするが、瞬は許してくれない。パンティーを掴んで強引に引き寄せ、足首を持って力任せに股を開ける。あまりの勢いにパンティーやストッキングがビリッビリッと音を立て破れた。 「俺ノ言ウ通リニシテタラ良インダヨッ!」 キッと沙耶香を睨み付ける瞬。 「なんで・・・こんな事・するの?優しかったのに・・・。」 痛みに顔を歪め訴える沙耶香。 「オ前ガソウサセタンダッ!何ガ優シカッタダッ!ハはっコノ裏切リ者ガッ!」 パシッ、パシッ、パシッ、パシッ 沙耶香の体を床に押さえつけ顔をひっぱたく。 「イッ・痛い!・・・ひどいよぉ・・・どうしちゃったの?・・・人が違う・・・」 「うっ・・・ウルサイッ!コノアマッ!」 瞬がズボンのチャックを開ける。そして沙耶香の目の前に肉棒が現れる。 「えっ?・・痛いッ!あぁ・・アガッ・・・」 沙耶香の髪を引っ張り、強引に沙耶香の口に肉棒を突っ込む。 ゲオォッ・・・ゲオッ・・・ウグッ! 「イテッ!テメー何シヤガル!!コノ雌ブタッ!!」 沙耶香は喉の奥まで入った瞬の肉棒でえずき、たまらず噛んでしまった。 「オ前・・オレニ・・ナンテコト・・スンダヨッ!」 バシバシ叩きながら言う瞬。そして、また髪を引っ張りフェラを始める。 「叩カレタク無カッタラ噛ムンジャネーゾ!オラッ!オラッ!」 ゲオォォッ・・ゲオォッ・・・ゴプッ・ゲェェォォ・・・ 無茶苦茶に突っ込んでくる肉棒のえずきに沙耶香は気が遠くなる。 ク・ル・シ・イ・・モ・ウ・・ダ・メ・・・ 「ハはっ!気持チ良カッタゼ!淫乱ッ!ホラッ立タセロヨッ!」 精液を喉の奥に放出し心地よさを味わった瞬は、四つ這いになりゲホゲホッと咳き込む沙耶香を押し倒し、胸の谷間に自分の肉棒を押し当てる。 「ゲホッゴホッ・・ユル・シテ・・ゴホッ・・シュン・・・」 瞳の光は消え、生気の無い声で哀願する沙耶香。 「ヤレヨッ!オラッ!」パシッ・・・ しかし、そんな姿を見ても瞬は動揺もせず逆に頬を引っ叩きパイズリを強要する。沙耶香が自分の乳房をつかみ瞬の肉棒を包み込むように揉み始めると、みるみる肉棒が生気を取り戻した。 「ソレデ良インダヨォ!沙耶香チャ〜ン。」 「沙耶香チャ〜ン」の響きが痩せぎすの男のイメージと重なり沙耶香に恐怖を呼び覚ます。その途端、朦朧とした瞬の姿が消えて昨日の痩せぎすの男が目の前に現れ下卑た笑顔で沙耶香の上にのしかかってきた。 「ヒィィッ!ィア・・イヤァァァァ!!!」 今の沙耶香には何故そこに痩せぎすの男がいるのか不思議に思う余裕など無く唯ひたすら逃げようとする。しかし両腕を捕まれ背筋にゾッとするような悪感が走ったと思うと下の唇から暖かい肉棒が入ってきた。 「アヒッ!!!!・・・ヤァメェ!・・イアァ!・・アァア!・・・」 目を見開き、首筋から血管を浮きださせながらエビのように体を反らし逃げようとする沙耶香。しかし、無情にも本人の意思に反し抽奏が始まる。 「イィ・・ィヤ・・ヤァ・・ギャぁ・・アァ・・・」 快感より痛みが激しく思いやりもクソも無い抽奏は更に激しさを増していく。 「ィダィ・・ヒィッ・・ヒィッ・・イダィ・ギィヤァアア・・ギャァァアア・・」 パンパンと肉がぶつかり合う音。強烈な痛みと衝撃・・・ タスケテ・・シュン・・タスケテ・・タスケテ・・・ 目の前の男が瞬だと認識できてない沙耶香は当の本人に酷い事をされていながら、心の中で瞬に助けを求め続ける。 「はっハッハッ!良クシマル・・ゼ!ホラッ・・イクゾッ!ウウッ!・・イクッ!はあ、はあっウウッ!!!」 「ギィッ!イヤァア!!アグ・ギィ・ァガ・・・・」 ドクゥッ!ドクゥッ!!ドクッドクッドクッ・・・ お腹の中で暖かい物が何度も何度も放出される感覚と一緒に沙耶香の頭の中で何かが弾け飛んでいった。 クックックッ・・・美味いぞ美味いぞ・・・ハッハッハッ・・・ この瞬と言う男。ここまで精神の弱い男だったなんてね。ここまで私の思い通りになるとは思わなかったよ・・・ あんたも楽しめただろう?クックックッ・・・ しかし、沙耶香と言う女。しぶといな・・・何故、目の前の瞬を痩せぎすの男にすりかえれたんだろう。これでは絶望が緩和されてしまうではないか。私に、見えない力を感じるが・・・もしかしてあんた、何かやってないだろうね。 とにかく、早めに決着をつけた方が良さそうだな・・・ 「ウウッ!頭が・・・痛い・・・」 瞬は目覚めた時のような虚ろな感じで回りを見る。 目の前に現れたものは、赤く腫れた頬、濡れた胸、はだけたスカート、股から溢れる精液・・・虚ろな目をして死んだように動かない沙耶香だった。 「なッ!!!どういう・・・!?おいっ!沙耶香っ!」 揺さぶるが沙耶香はピクリとも動かない。抱き起こそうとすると、力無く頭を垂れゲボッと言う音と共に口から白っぽいドロドロした液体が糸をひいて流れ落ちる。 「俺は・・何を・・・?沙耶香ぁぁぁぁ!!!」 困惑と恐怖の叫びが薄暗い玄関に響いた。 「沙耶香・・悪かったよぉ・・頼むから・・返事してくれよ・・・」 瞬は、身動き一つしない沙耶香の上半身を抱き起こし、泣きじゃくって言う。 「・・・」 さっきから、叩いたり揺すったりして沙耶香を呼んでいるのだが全然反応してくれない。かろうじて息はしているようだが沙耶香の体は弛緩し、瞳は上を向いていて全然生気を感じられなくなっている。 「ごめん・・・ごめんよ・・・こんな事して・・・」 締め付けられるような胸の痛みを感じ、沙耶香の頭を抱え謝る瞬。 ガチャガチャ…ガチャリ その時、玄関の鍵があき扉が開く。 「ただいま〜。沙耶香今日は早く帰ってきたわよ・・」「!!!」 玄関の惨状を見て目を見張る母親の茂子。 「瞬くん!?」「なっ・・・何て事するの!!!」 茂子は言うなり瞬を押し飛ばし沙耶香の頭を抱く。瞬は勢い良く壁にぶつかり、その場に倒れ込む。 「沙耶香!沙耶香っ!!返事なさいっ!!!沙耶香ッ!!!!」 茂子は沙耶香の頬を叩き正気に戻そうとするが沙耶香は反応しなかった。 「イヤァァァァァァ!!!サヤカァァァァァァ!!!!!」 気が狂ったように沙耶香をゆすりながら叫ぶ茂子。 「ごめんなさい!俺は・・・俺は・・・」 頭を抱え必死に泣きながら謝る瞬。 茂子は沙耶香を横に寝かせると、凄い形相で瞬に近寄り、胸座を掴んで引っぱたく。そして自分がした事の恐怖で足腰が立たない瞬を玄関の外まで引きずり出して言う。 「もう、二度とうちの沙耶香に近づかないで!!許さないからっ!おぼえてらっしゃい!!!」 瞬は何も言えず、道路に投げ捨てられた鞄を拾って止まらぬ涙を拭いながら、重症の病人のようにフラフラと歩いて帰った。 「コワイヨ・・・怖いよ・・・こわいよ・・・シュン・・・ドコ・・・ドコに行ったの?」 暗い空間、自分の体は見えるが、まわりは足場が有るのかどうかさえ判らない漆黒の闇に包まれている。沙耶香はそこで座込んで、瞬を呼んでいる。 『何を言う沙耶香っ!お前に酷い行いをしたのはアイツ自身だ。』 手のひら大の、白い光の玉が急に目の前に現れると言った。 「えっ・・・あなた誰・・・?誰なの・・・?」 奇妙な物体に脅え、後ずさりしながら問う沙耶香。 『お前のココロだ。お前がこの世界に生まれ落ちる前からお前の中に存在していた。そんな事はどうでも良い・・・。今は瞬がした事について話しているのだろう?アイツは、お前が嫌いなんだ。だから乱暴に犯し、鬱憤を晴らしたかったんだよ。お前の苦しむ顔を見て笑っていたぜアイツ・・・クックック』 光の玉が青色や赤色に変化しながら、少しずつ沙耶香に近づき言う。 「瞬は、違う!今まで優しかった・・・どんな時もワタシの支えになってくれたのっ!ワタシの気持ちを考えて行動してくれてたのよ!」 髪を振り乱し“違う!違う!”と首を横に振り、叫ぶ沙耶香。 『お前の気持ちを考えて?バカを言うな!男なんて皆、同じさ・・・性欲の捌け口にするために女をそばに置いておきたい・・好きな時にやれる都合の良いダッチワイフにしたい・・そのために女を騙し優しいフリをする。そういう生き物なんだよ!』 紫色や赤色に色を変えながら、牙のはえた口に形を変えると、沙耶香に近寄り叫ぶ。 「ワタシが瞬を傷つけたから・・・だから瞬も動揺して・・・魔が差しただけだよ!瞬は・・・きっと・・・」 沙耶香は、その口に食いつかれるのではないかという恐怖のあまり更に後ずさりするが、逃げ出したい気持ちを抑え、かすれた声で言う。 『魔が差した・・・?お前の本当のココロは“信じてた人に傷つけられた気持ち”でズタズタではないか?酷い行いをした瞬を違う人間に置き換え、ココロの安定の為に真実を曲げて認識したのは誰だ?』 牙のはえた口は、茂子の顔に変化し優しい微笑で語り掛ける。 「えっ・・・?そ・・そんな事無いよ・・・」 自分の心を見透かされ、顔をそむけながら弱々しく反論する沙耶香。 『クックックッ・・・バカな奴だ・・・俺はお前のココロだというのに・・・じゃあ見せてやるよ、お前の大好きな瞬がお前を犯していた時の状況をっ!』 茂子の顔からレイプ犯の痩せぎすの男の顔に変化すると、下卑た笑いをして言う。 「えっ・・・イヤだっ!・・見タクナイッ!」 沙耶香はあまりの恐怖感から逃げ出そうと立ち上がり、何も見まいと目を閉じながら痩せぎすの男の顔に背を向け走り出す。 「いッ!!イヤァァァァァァ!!!シュン!?ヤッ!ヤメテェ!イヤァァアガッ・・・」 しかし映像は鮮明に再現されると沙耶香の頭に直接映し出された。沙耶香は走る勢いを衰えさせ、涙を溢れさせながら恐怖で引きつった顔をしたかと思うと、白目を剥いて糸が切れたようにその場に倒れる。そして、時折「イヤァ!」「ヤメテェ!」と言いながら“ビクッ、ビクッ”と痙攣し、そのうち動かなくなった。 「クックックッ・・・ハッハッハッ・・・苦しめ苦しめっ!」 レイプ犯の痩せぎすの男の顔に変化している物体は楽しそうに笑うと暗闇に消えていった。 「これは酷い。なぜ、こんな状態に?」 精神科の医者が沙耶香を見て茂子に言う。 「難しい年頃に鍵っ子で育った娘なんで、悩み事を全部自分で解決する癖を付けさせてしまったのが悪かったんでしょうか?最近、悩んでいたようで、酷く元気が無かったので昨日は仕事を早めに切り上げて沙耶香に聞こうとしていたんです。しかし学校から帰るともうこんな感じで、倒れてしまっていて・・・」 真実を他人に口外しては世間体に関わるし、沙耶香の為にもならないだろうからという判断で茂子は嘘を付く。 「しかし直接的な原因を知らない事には娘さんの病気は治せないし、困りましたねぇ。とりあえず入院していただきながら精神安定剤で治療を続け、話せるように回復できるかやってみましょう。お母さんも1日1回は面会にきて娘さんとコミュニケーションを取ってください。できたら御家族みんなで協力して頂きたいと思います。その方が娘さんの治療の効果があがると思いますので・・・。」 「はい、相談しでみばすぅうううぅ・・・。それでば・・宜しくおでがいしますぅ。ずずッ・・かだらずだすけでくださいぃぃせんぜぇぇ・・・」 茂子は、平静を装う力が無くなり、泣きながら深々と頭を下げると、生気の無い人形のような沙耶香をベットから下ろし、おぶって診察室を出る。 「普通の悩み程度であそこまではならないだろう。一体何があったんだ?完治は相当難しいな。あのクランケ・・・」 精神科医は茂子と沙耶香が診察室から出たのを確認してからポツリと呟いた。 「ねぇねぇ瞬。沙耶香どうしたの?」 1時限目終了した後、沙耶香の女友達が、自分の席で考えに耽っている瞬に尋ねて来た。運動部系の元気な感じのするポニーテールの女の子だ。 「ど・・どうしたんだろう?」 真実を知っているが言えない。引きつった顔でわからないフリをする瞬。 「最近、元気無かったし心配だわ・・・。瞬、沙耶香の事、頼むね・・・。私には何にも話してくれなかったけど、瞬になら打ち明けてくれると思うから励ましてあげて・・・」 女友達は優しげな笑顔でそう言うと自分の席に返っていった。 「俺に励ませって・・・そんなの・・・絶対無理だよ・・・」 また胸がうずく。頭を抱え悲壮な顔で呟く瞬。 その日のHRで担任から、沙耶香が病気で休学する事になった旨の連絡があった。 数日後・・・ ピッ・・ピッ・・ピッ・・ピッ・・ 心臓の鼓動を伝える機器の音が響く沙耶香の病室。夜中の2時で照明が消えていると言うのに誰かがいる。 「ヒッヒッヒッ・・・逃さナイよ。沙耶香チゃん。アラァ、今日はカワイイパジャマだネェ。」 白地にピンクの水玉模様のパジャマを着た沙耶香を、恍惚の表情で舐め廻すように眺めている。痩せぎすの男『アリ』だ。 「コノ病院、セキュリティーあまいンダヨね。ヨカった・・・。」 アリは沙耶香をレイプした時から気に入り、ストーカーのように付きまとって居場所を把握していたようだ。写真を玄関に入れたのもアリだろう。 パジャマの上から沙耶香の胸を揉みながら笑っている。すると、ゆっくり沙耶香の瞼が開いた。しかしその瞳には驚きどころか何の感情も感じられなかった。 「素直な女はイイナァ。ヒヒヒ・・・」 抵抗が無いので、難なく沙耶香の上半身のパジャマとブラを捲り上げる。月の光で露になった胸が艶めかしく光る。 チュッチュバッ・・チュチュッ・・・ 「おいヒイよ・・はヤカひゃン・・・ヒヒッ。」 乳首を咥えたまま嬉しそうに言うアリ。しかし沙耶香は相変わらず無表情のまま何も感じていないのか、それとも体を動かす事もできないのか身動き一つしない。 ある程度上半身を堪能したアリの手が沙耶香の胸から秘部へと向かう。沙耶香はヒダに触れられると、ピクッと反応する。 「ヒヒヒッ体は正直ダネ。感じルカい?」 「イゥン・・・イァ・・ィア・・ィアァア・・・」 アリが指でヒダを責めていくと、顔は無表情だが言葉にならない小さな囁きと共にピクッピクッと体が動き、息が荒くなってくる。そして秘部から粘液が溢れ出てアリの手を汚す。 ピッピッピッピッ・・・ 心臓の鼓動を伝える機器の音の間隔も短くなって来た。 「そロソろ入れルヨぉ。イイヨねぇ、沙耶香チゃん。」 アリはそう言うと、下半身のパジャマとパンツを手際よく脱がし、沙耶香の股をM字型にひらけて、ベットの上に飛び乗るとビンビンになった物を沙耶香に挿入する。 ジュルルッ・・ニュチュッ・・・ 「ヒゥン・・・・ィァアァ・・・・」 「カハァ・・・・クウゥ・・・・・イイヨォ・・・ヒヒヒ」 粘液のニュルニュルした感覚と程よい締め付け感が何ともいえない。アリの全身に鳥肌が立ち軽く痙攣する。 ギシッギシッギシッギシッ・・・ アリが抽奏を始めるとベットがきしんで音を立て始める。 「ウッ・・上手く・・ナっタね・・沙耶香チゃん・・ンンッ・・・」 腰を引くタイミングに合わせ自然に膣が収縮し、カリの部分から電撃が走るような快感が延髄を通り脳に伝わる。 「シュン・・ィアダ・テ・・イ・テルノニ・・・」 「ヒヒッ・・イイ・・良イヨぉ・・ウッ・・ウッ・・・」 すると沙耶香の瞳が潤み、涙が頬を流れ落ちる。しかしアリは快感を貪るのに夢中で沙耶香の変化に気づいていない。 「ミィン・・ナァ・・キィラ・・ィダ・・・」 「ヒヒッ・・ナニ・・イイ・・ウ・・イクッ・・イクヨぉ・・ウウウッ!!!」 ドクゥッ!ドクドクゥッ!!ドクドクッ!!・・・・・・ザクッ! ドンと伝わる振動とともに首に何かが刺さったような感覚。アリは首を触るとそれを引き抜いた。すると暖かい液体が首から噴水のように吹き出てくる。驚いた表情で沙耶香を凝視するアリ。 「ギィアァァァァァァァァ!!!」 首から更に血を吹き出させながらアリの絶叫が病院中に広がる。その後チリィーンと言う音と共にアリが愛用しているナイフが床に転げ落ち、そのナイフの持ち主は沙耶香の上に乗りかかるようにして2、3回痙攣した後、動かなくなった。 暫くすると誰かが走って来る。扉が開いて病室に光が灯った。 「どうしたの!?佐々木さ・・・キ・・キィャぁぁぁぁぁぁぁぁ!ダ・・・ダレカぁぁぁぁぁキ・・きてぇぇぇぇぇぇ!!!」 血の気が引き酷く脅えた表情をした看護婦は腰を抜かし、這いながら病室から消える。 沙耶香はその後、死体となったアリを押しのけ床に落とし、体中についた血のりを拭く事も無くパジャマを着ると床のナイフを拾い、 「キラィダ・・死ンンジャェ・・シンジャェ・・シンジャェ・・・」 と言いながら、あお向けにころがっているアリの腹に何回もナイフを突き立てる。数回ナイフを刺すと立ち上がり死体を一瞥。フラフラした足取りで窓際まで歩くと病室から飛び降りて月夜の闇に消えた。 「何してるの!明日の用意して・・早く寝なさい!今何時だと思ってるの!夜中よ!」 「わかってるよ。母さん。」 ベットの上で横になりボーッとする瞬。今日も何も手に付かなかった。沙耶香が休学してから3日か・・・。沙耶香が1年間休学する旨を知った日は苦痛だった。沙耶香の心の傷の深さを実感した上、沙耶香の父親が家に怒鳴りこんできて、ぶん殴られた。その後も親から説教、当たり前だが・・・。ん?良く考えたらアイツが悪いんじゃないか!・・・けど、あんな状態になるまで沙耶香を傷つけてしまうなんて・・・何であんな事をしたんだろう・・・。 「会いたいな・・・。」 沙耶香に会わせて欲しいと、勇気を出して電話した事もあるが、当たり前の事で親が取り合うはずも無く、 「何様のつもりだっ!沙耶香が治らなかったら、許さんぞっ!!!」と激昂されるだけだったし、もう二度と会えないのかもしれない。 夜も遅いので、瞬はひとまず明日の準備をすると布団にくるまり眠りにつくことにした。 ピンポンピンポンピンポン・・・・・・ガチャ・・・ 「こんな時間にどちら様!?・・・・・・キャァァァ・・沙耶香ちゃん?落ち着いて・・ね・・お願い・・・」 遠くでそんな声が聞こえる。沙耶香が来る?そんなわけない・・・夢か・・・ ガチャッ・・バンッ!!! 乱暴に開け放たれた扉の音と共に部屋の入り口に立つ影が見える。これは・・・夢なんかじゃないぞ! まさか、本当に沙耶香なのか?顔を見たいが逆光で見えない。 「沙耶香なのか?」 ベットから下りて影に向かい問う。声を聞いた影がこちらを見たかと思うと歩み寄って来る。手に光る物が見えた瞬間。 ドスッ!!! 腹に激痛が走ったかと思うと足に力が入らなくなる。崩れていく拍子に影にもたれかかると、力が無いのかその影も一緒に座り込んでしまう。顔が階段の光で照らされると、その顔は・・・泣いていた・・・。 思わず胸が苦しくなる。瞬は、やけに重たくなった腕を必死で持ち上げ影の頭を撫でてやりながら微笑んで言う。 「ごめ・んな・・辛かった・・だろう?・・ごめ・んな・・・」 その言葉を聞いた途端、沙耶香は体中をガタガタ震えさせ、目一杯開いた目から更に涙を溢れさせて叫んだ。 「キィャァァァ!イィヤァァァァ!死ナナイデェェェェェェ!!!」 「パパッ!救急車をッ!早く早くしてぇ!何てことするの!沙耶香ちゃん!・・・」 瞬は力尽きた腕を床に落とすと、回りの風景がぼやけてきて、沙耶香が叱咤されているのが遠くに聞こえる。 「かあ・・さん・・沙耶香を・・許して・・やって・・・」 喋るのも億劫だが力を振り絞り、かすれた声でそれだけ言うと暗闇に落ちていった。 クッ・・・ 良い味を・・出してくれる。ハハッ・・美味いぞ沙耶香・・ウクッ・・こ・・これで・・最後だ! 愚かな男に陵辱された・・かわいそうな少女・・そしてその男と・・自分を愛してくれた男を・・殺した殺人者にして・・精神異常者の・・レッテルを貼られ・・これから生きなければならない・・ウグッ・・不幸な少女・・もうこの苦しみからは・・逃れられない・・だろう・・・ 後はじっくり・・マイナスエネルギーを・・ハァァ・・いただく・・だけだ・・シカシ・ナゼ・クルシクナッテ・・クルノダ・・・ 5ヶ月後・・・ 病院の中で一番緑が多い中庭が見える廊下で精神科医と茂子が話している。 「娘さんの裁判の件はどうなりました?」 「おかげさまで、重度の精神病による精神耗弱状態だったと先生が診断して下さったので過剰防衛による過失致死ついても無罪放免になりましたし、瞬くんの件は瞬くん自身の希望で事故と言う事になり事件にならず助かりました。」 「病院のセキュリティーの甘さに関しては申し訳ない限りです・・・。」 「そうですわ、先生。しかし、それは病院側の改善に対する真摯な対応で私としては納得しました。あまり気になさらないで下さい・・・。」 「恐縮です・・・・・・しかし、奇跡ってあるもんなんですね。瞬くんの事件直後の状況、同僚から聞きました。1度死んだ瞬くんを娘さんが呼び戻したとか・・・」 「ええ、救急車で運ばれて治療したんですが間に合わず、お医者様が“駄目でした”と告げると、沙耶香が手術室に飛び込んで駆け寄り、瞬くんの胸にしがみついて『死なないで!瞬が死んだら、生きていけない!』と泣き叫ぶと、止まってしまった瞬くんの鼓動が再び動き出したそうです。」 「娘さんの一心不乱さが彼に伝わり蘇生したんでしょうか。娘さんには瞬くんが必要だったんですね。私は瞬くんが羨ましいですよ・・・。」 「あの娘の気持ち、私には理解できませんわ。自分に酷い事をした瞬くんを殺そうとまでしたのに、好きだなんて・・・。しかし瞬くんが退院して、一緒にいてくれるようになっただけで沙耶香の病気も急激に回復してきたって事はやっぱり本物なんでしょうか・・・。」 「あんなに酷かった精神病がたった5ヶ月でこんなに良くなったんですから本物なのでしょう・・・。普通のクランケは5年経っても改善できなくて苦しんでいる人も多いんですから。それにしても人間の心って不思議です。精神科医としては科学的に好き嫌いのシステムを知っている以上、トラウマが邪魔して逆効果になると思っていたんですが・・・沙耶香さんの場合は当てはまらなかったようです。ほらっ、あんなにはしゃぎまわって・・・」 病院の中庭で、沙耶香が何か意地悪でもされたのか瞬を追い掛けまわしている。しかし、その沙耶香の表情は秋の哀愁を漂わせる夕日に照らされても、眩しいくらいの笑顔だった。 「後は頻繁に発作を起こして倒れたりする事が無くなれば退院です。が、それももう間近でしょう・・・。特効薬がそばにいてくれるんですから・・・」 「そうですね・・・」 「さて、次のニュースです。ここ数ヶ月逃走しておりました、違法ビデオ販売の日系人グループが誘拐・婦女暴行の罪で逮捕されました・・・」 テレビだろうか?少し肌寒くなった風と共にかすかに聞こえてきた。 オノレ・・オマエラ・・アレダケ・・イイオモイヲ・・サセテヤッタノニ・・・ウラギッタナ・・・ オモイヤリノ・・キモチナンカデ・・ニクシミヲ・・オトロエサセ・・・コワレタココロヲ・・・シュウフクスルトハ・・・・・・ シカシ・・オレハ・・カナラズ・・・ ヨミガエル・・・・・・ オマエラノ・・ナカニヒソム・・ヒトノイタミヲ・・ナントモオモワナイ・・ニンゲンガ・・イルカギリ・・ソノ人間ノ・・心ノ中デ・・ナンドデモ・・・ ナンドデモ・・・・・・ マタ・・会オウ・・・ −FIN− この小説に投票します・・・ , ZZPのTOPへ戻ります・・・ |