《野放し志保》

18禁
Written by 瑞雲





 オレはどうしても修学旅行までに彼女が欲しくなり、色々手を尽したが、なかなか実らず、どうにかできたのは訳ありの女だった。志保はあかりの友達で、おしゃべりでその上目立ちたがりだし、志保ちゃん情報などデマに近いウワサを流すのが好きな悪友に近い存在だ。しかし、こんな女で手を打ったのも性欲による所が大きく、ヤツの背伸びしたい部分を利用して夜遊びの後、家に連れ込んで酒を飲ませて酔わせて強引に押し倒してそのまま童貞を捨てる事に成功した。覚えたからには数をこなしたいのが男で、連日こなす事になったが、見た目通り志保の方が淫乱で、一人暮し同然で栄養状態の良くないオレの方が根を上げてしまった。もちろんワガママな志保が黙って聞く筈もなく、しつこく求めてきたので、オレは外国製の安いバイブをプレゼントして本物の使用はなるだけ控える作戦を取った。
 これで、オレは志保と都合がいい時だけエッチができるはずだった。しかし、そんな甘い望みはすぐに打ち破られた。ヤツの過酷な使用にバイブが耐えられず、ついに壊れたのだ。そして、ついに志保の欲求が暴走を始めた。偶然だが、オレは志保と他の男がエッチしているのを目撃する。オレは二股をかけられているのかと思って志保を責めたが、ヤツは単にエッチしたかっただけで、キスもしていないから本気じゃないと女にしか分からない理屈を口にして許しを請うと同時に、また昔のように毎日やりたいと言ってきたのだ。珍しく申し訳なさそうな顔をして謝りつつも、提案してくるとは志保らしいと思ったが、オレにはやりたい気持ちはあっても連日は不可能なので、条件付きで浮気を黙認する事にした。もし禁じて、あぶないバイトや薬物に手を出されては困るし、別に分かれてもいいが、ヤツとの関係があかりにバレるのは避けたいので、あえて目をつぶることにした。
 互いのエゴで安易な妥協をするはめになったが、普段の志保は発散されているせいか最初の頃のかわいさを取り戻し、ベッドでも献身的に溜まったオレを癒してくれた。初めて結ばれた日に何と言ったかは覚えていないが、志保のハートまでモノにできるのはオレだけみたいで、ヤツもそれを曲げる気はないらしい。志保はピルを飲んでるので妊娠する事も無いし、オレが一旦割り切ってしまえば問題の無いように思われたが、世の中そんなに簡単にはいかなかった。



「ねえ、藤田」
「何だよ」
 休み時間になったので、オレは風に当ろうと廊下に出るとクラスメイトの女子が声をかけてきた。岡田は小柄でツインテールの髪が印象的だが、鋭く吊りあがったの目がネックとなり、本人の努力の割にはかわいくなれてない少女だ。もちろん、オレはこんな腹黒い女とは親しくない。
「あんた長岡と仲いいでしょ?」
「ああ、それがどうしたんだよ」
 岡田は志保と違うクラスだが、あかりや雅史と同じくオレの仲間である事を知ってるようだ。岡田にも吉井や松本と言う仲間がいる。あまり口がいい方ではないし、どうも勘ぐるような口調で、あまり面識の無いオレに対して友好的に見えない。彼女は委員長と仲が悪いが、きっと委員長が美人で優等生な事に嫉妬してるのだろう。
「あいつ普段はお調子者だけど、影ではけっこうエロいのよ」
「へ〜」
 岡田が話したそうにしてるので、一応聞く姿勢を見せる。
「随分とのんきじゃない!あいつ、この間…放課後の図書室でエッチしてたんだから」
「でも、お前が図書室になんの用があったんだ?」
 オレはリラックスして廊下の壁にもたれると、岡田に訊いた。
「その…ハ虫類の本を、探そうと…してたのよ。そしたら、奥の方に二人分の熱量を感じるから…様子を伺ってたのよ。気になるから見てみたら、あいつと橋本先輩じゃない…」
「何で、見えない場所の熱量が分かるんだよ。で、志保がどうしたんだ?」
 志保が楽しんだ相手の上級生は確か、軽音部でバンドをやっている優男だが、志保の歌でなく肉体にしか関心が行かない時点で、奴の音楽センスはたかが知れている。志保が手を出したとしたら、『あのルックスで人気だけど、アッチの方はどうだろう?』という安易な好奇心からに違いない。志保は性欲だけでなく、好奇心も人一倍強い女なのだ。
「う、生まれつきよ!二人が本棚の影でやってるじゃないの。あいつ、後から突かれながらヘラヘラした顔で相手の方向いておねだりしてたのよ。先輩のテクにメロメロだったんじゃない?あんな所で…淫乱もいいとこよ」
「橋本先輩の腰の動きはそんなに猛烈だったか?お前なら、誰としたい?」
 岡田の言う通りなら、志保は演技してるだけで実際にはあまり感じていない筈だ。オレがバックでガンガン突いてやると、すぐに理性が飛んで喘ぎ声のストロークも上がって淫らそのものになってしまうのだ。おそらく、志保にとって奴はかなりリードしないと快感が引き出せない相手なので、モテる割にはそんなに上手くないのだろう。
「そんな事、知るわけないじゃない!大体、まだ入れた事ないわよ。あたしは、佐藤くんとだったら…」
「だったら、志保の方が大人じゃねーか!お前はまだ処女で、雅史でオ○ニーしてるなんてよぉ。人の事言えた義理か」
 オレに志保の秘密をバラして唖然とする所を見たかったのに、オレが驚かないとくやしさの余りあかりに言いかね無いので、カマをかけて秘密を引き出し、口を塞がなくてはならない。
「大きなお世話よ!あたしが吉井や松本よりも早く捨てるに決まってるんだから…」
「ひゃ〜っ、三人いて全員処女かよ!まあ、その性格じゃ当分無理だろうけど…」
「…キシャァァァーーーー!」
「ひっ、お前は…ハ虫類か!」
 あまりにあっさり岡田がひっかかったので、おもしろくなって更にからかうと、この世のものとは思えない狂暴な形相でオレに対して怒りの雄叫びをあげる。一瞬、両目が真っ赤になり、口から細くて長い牙やヘビのように長い舌が見えたので、オレは思わずギョっとして教室に逃げた。この学校には金髪、魔女、超能力者、格闘少女が存在するので、別にどんな女の子がいたって不思議じゃない。しかし、危ないタイプに、オレの方から関わるのは避けよう。



 授業を受けるフリをしてぼーっとしてると、やっと三時間目が終わった。春の心地良さは眠気を起こさせ、ヘタすると昼休みまで目が覚めなくなってしまう恐れがある。だから、オレは休み時間は廊下に出て体を伸ばしてしばらく風に当ることにしている。いつの間にか気だるさがオレのトレードマークになりかけているが、一応けじめはあるつもりだ。そもそも、朝からテンションが高いヤツの方がどうかしている。
「ヘイ、ヒロユキ!ダラダラしてマスネ〜。ちゃんとヌイてマスカ?」
「飯が待ち遠しいんだよ。いつもハイなのは、お前くらいだろ、レミィ」
 オレがブラブラ歩いていると、少女が右腕にしがみ付いてくる。この突然さと肘越しに伝わってくる国産ではなかなか味わえないボリュウムはオレの知る限りでは一人だけだ。レミィはハーフだけあって大柄だから腕にかかる重さも結構なのもで、マッチョでないオレには重く、すぐに振り払う。
「シホには優しいのに、アタシには冷たいデス。コレじゃ、判官贔屓ネ」
「志保はあかりの友達だし、単純で扱いやすい。一言で言えば、飼い猫みたいなものだ」
「知らぬは夫ばかりなり、デス。シホ、矢島とファックしてマシタ。アタシ、前にクラブの途中で見たネ」
 レミィは見るからに金髪碧眼なのに、ことわざや格言を愛する親日家で、部活も弓道部に入っているが、動かない的には命中させられないそうだ。腕は確かだが、目が動くものを捕えるのに特化しているのだろう。だから、放課後の逢瀬を目にできたに違いない。
「だから、どうした。俺は大人だから、あいつが人の道に外れないかぎり、いちいち干渉しない事にしている」
 オレはレミィの向こうを張ろうと、童貞でないと告白した事がある。レミィは金髪で目を引くし、志保と同じで黙っていれば美人で、何よりナイスバディだから、日本で浮名を流そうと思えば容易い筈なのに、勝手に日本女性の奥ゆかしさを理想としているので日本では異性関係は全くないそうだ。もちろん、これほどオープンな彼女が処女である訳も無く、向こうにいる時に年下の少年と互いに大人になったらしい。しかし、日系と思っていた相手が実は単なる東洋系だったという早とちりな部分も実に彼女らしいと言える。
「ナンデモ、ほったらかし、ヨクナイデス。ソレニ、シホとヤジマの関係、ワカリマセン」
「何で分からないんだ。お前の国で言われてる、セックスフレンドってやつだ」
 他の女が訊いて来る場合、もっと棘のある口調になっても不思議はないが、レミィの場合、無邪気さと純粋な好奇心から来ているせいか、まるで嫌味が無い。
「シホ、ファックするの好きデスカ?」
「ああ、あいつはエロエロなんだ。俺だけじゃ、手におえない程だ。お前だって、日本じゃ銃撃てないから、弓道やってんだろ」
 本来なら、バスケ部の矢島は体格的にもレミィとの方が釣り合いが取れてそうだけど、あいつも後腐れ無い関係を求めているので、同じく束縛を嫌う志保と関係したのだろう。一方では同じ動物を娯楽の対象にしていても雅史のようにハムスターと遊んで癒される人間もいたら、同じハムスターを飼っているが、実は鴨や水鳥を撃つ方が好きなレミィがいるので、まさに快楽の形の違いである。志保もレミィも等しく我慢がなく、発散の際に不純異性交友と密猟の差があっても、秘密には変りない。
「アタシ、日本の技覚えようと努力シテマース。デモ、シホのプレイ、単なる小手調べデス。マルデ、木を見て森を見ないデスネ」
「男女の関係をフレンドとステディにしか分類できないお前が、どこまで濡れ場の目利きできるんだ?」
 見た目は大人で中身は子供のレミィも、独自のセックス文化のある国の生まれなので、案外知識は持ってるのだろう。
「そもそも、前戯が甘いデス。どうして、Deep throat や Tits fack しないデスカ?」
「志保も別に口でするのがヘタな訳じゃない。それより、ティッツとかいうのは何だ?」
 志保はオレとする時にはすでにフェラをマスターしてたし、そのままイカせる事もできる。見た目に地味でも、根元まで口に含んだり激しく吸うだけの技とは違い、敏感な場所をピンポイントに責めたり、同時に手も活用するレベルにまで達しているのだ。
「胸に一物デス」
 オレが訊ねると、レミィは両手で胸を寄せた。どうやら、胸でナニを挟んでマッサージするプレイらしい。巨乳ならではのテクだろう。
「おいおい、そういう時に使う言葉じゃ無いだろ。それに、志保は美乳の分類に入るんだ。みんながお前みたいにデカい訳じゃない」
 志保も同級生の中ではいいスタイルの分類にはいるが、すべてがアメリカンサイズのレミィには及ばない。何より、志保の胸は形の良さが魅力なのだ。程よい大きさなら、将来垂れる心配もないだろう。
「本番も地味デシタ。Anal fack とDouble penetrationはできないデスカ?」
「なんで、放課後に遊び半分でするだけなのに、そんなに過激になるんだ。穴ならどこでもいい訳じゃないだろ。少なくとも、俺はノーマルで充分楽しいぞ」
 少しスケベなヤツなら知っている分野だが、オレ達の年頃はできるだけでうれしいので、オカマでもないのにわざわざ出る穴に挑もうとは考えないはずだ。たとえ童貞でも、前の穴と後の穴ぐらいは区別できるだろう。
「そんな事デハ、ハードコアに挑めないデス。ヤジマも何も試さないまま、簡単なファックだけでディックが萎えてしまって、情けないネ。シホのリアクションも地味デシタ」
「激しければ、いいってもんじゃないぞ。アメリカ人だって、みんなポルノみたいな事できる訳ない筈だ」
 レミィは経験が浅いせいか、高度なテクも勢いだけでできると思っているらしい。もし志保が別の穴も開発されていても、持続力がなさそうな矢島では役不足だろう。きっと、志保も体格とモノのサイズのギャップを目の当たりにし、鍛えられた肉体でも不慣れなせいで激しさの割に快感を与えれなかったのかもしれない。
「デモ、シンディはやったと言ってマシタ」
「誰だよ、シンディって」
「アタシの姉さんデス。いろんなテク、マスターしたカラ、チアリーダーに成れたりニホンゴの特別レッスン受けれマシタ」
「自慢してどーすんだよ、女がカラダで仕事していいのは風俗と援交だけだろ。他は邪道だ」
 確かに、向こうは日本よりも厳しい競争社会と訊くので、利用できるものは利用しないと生き残れない側面もあるかもしれない。しかし、だからと言って不正を黙認しては、モラルと公平さが損なわれてしまうばかりか、セクハラをも助長しかねない。
「芸は身を助ける、ネ。ファックが好きなら、覚えて、損はないデス」
「パートナーがいつまでも子供じゃ困るけど、志保だっていろんなテク知ってるぞ。俺と変った体位でハメた事あるし」
 レミィの言う通り、まるで性に関心や知識が乏しかったりすると、例え親しくてもその対象にできない場合がある。あかりは決して悪いヤツではないが、こっちが切り出しても困惑するばかりだろうから、親密でも対等な関係には発展しないのが現状だ。その分、志保で経験を積み、新しい事を試したりしている。志保も気持ちよくなる事にはマジになるのだ。
「どんなラーゲデスカ?」
「駅弁だよ。そうだな…女は繋がった状態で立っている男の肩や首の後に手を伸ばして掴まり、脚も使って男にしがみ付くんだ。だから、そのまま腰を振ったり、あるいは、階段を走って上ったら、ガクガク揺れるだろ。まあ、男は疲れるんだけどな」
「OH!アクロバティック、ネ」
「とにかく、エッチにもノリの違いがある訳だ。国や世代が変れば、深めて行く分野も違うんだ。どこまで出来るかは、相手の理解と互いの常識の許す範囲と心得よ」
「分かったデス。じゃあ、ショタコンでもパートナーが見付かればイーデスネ?」
「お前、子供が好きって…そんな目で見てたのか。それはヤバいだろ。そっちは本や妄想だけにしとけ。縁という言葉を知ってるか?運が良ければ、初恋の相手とも機会があるかもしれんぞ」
 正直、オレはレミィが女でホッとしている。もし男なら、日本では金髪碧眼というだけでモテるし、それをいい事におそらく据え膳食わぬは〜の理論で手を出しまくるかもしれないからだ。もし初恋の相手が身近な所にいても、レミィは今でも子供みたいなので、よほど印象的な思い出でもないと関係を進展させれる可能性も薄いだろう。
「果報は寝て待て、デスネ」
「その通り。それと、寝る子は育つ、だ」



 次は四時間目だから、さすがに腹が減ってきている。そんな訳で、眠りについて昼休みが来るのを待つことにした。先生は仕事なので勝手に授業をするが、隣の席の委員長の視線が少し痛かったりする。彼女は優等生でその上、眼鏡とおさげが似合う知的な美人だけど、クールで人嫌いな所があって人付き合いは苦手そうだ。オレに取っても志保やあかりとはまったく違うタイプの女なので、親しくなるのは困難である。でも、もし彼女がオレの家に髪を下ろしてYシャツ一枚の姿でいたら、どうだろう?そのままいい雰囲気になったら抱きたいと思わずにはいられないだろう。確かに絵空事に過ぎないが、夢を見るのは自由だ。かつてオレは、この学校ですばらしいメイドロボに出合った。HMX−12、通称マルチ。可憐で愛らしく、ちょっぴりドジだけど健気で、何よりその純情さに心打たれた。委員長もマルチも将来はきっと立派になるだろう。それに引き換え、志保はどうだろう?アリとキリギリスに例えたら、絶対キリギリスだ。ルックスとスタイルは申し分ない方に入るし、異性と渡り合うのには慣れているから、風俗や水商売が向いてるかもしれない。ランパブやイメクラにも通用しそうだ。逆に、SMやストリップには向いてないだろう。もし、志保がそれでよくてもあかりや雅史、何より家族はどう思うだろう?それに、志保がバカでスケベなままだったらオレのせいだろうか?ヤツを一言で語ると、ふまじめだが、その根底には様々な要因があるはずだ。まず問題点をピックアップできる程の観察眼を持ち、第三者的な見方をできる人間がいないだろうか?この時間までに志保の事でオレに話しかけて来た女はみんな野次馬根性だったし…。



 結局、居眠りの格好をしながらも頭は使っていたので、ロクに眠れないまま昼休みを迎えた。しかし、最近はわざわざ食堂に急がなくてもカツサンドを食べれるのだ。すでに前日にディスカウントストアで買ってあるからである。面倒くさがりのオレにしては気がつくのが遅かったかもしれない。近頃の店はへたなコンビニより便利なので結構重宝する。しかし、カフェオレは学校の自販機でないと手に入らない。場所は適当に決めて一人でのんびり食べるのが気楽でいいので、そうするつもりだったが、今日は思わぬ横槍が入る。
 あかりの同級生の鈴木寛子だ。志保は中学時代からの付き合いだが、寛子とはこの学校に通うようになってからできた友達の筈だ。見た目も志保と正反対で、清純で健康的な感じの美少女だ。ルックス的にはショートカットで茶髪と現在的だが、眼鏡がまじめで堅い感じを強調してるように感じる。委員長と違って言葉やノリは同じだけど、内向型でやや潔癖症だし女系家族で育ったせいか、異性と接するのには慣れてないようだ。しかし、おっとりしていてややドンくさいあかりをよくフォローしてくれている。実際に体育の授業中にアクシデントに見舞われたあかりを救っているので、オレも一目置いているのだ。彼女は彼女であかりの家庭的な部分や料理の実力を高く評価して尊敬しているらしい。ちなみに、オレがあかりの幼なじみである事を知っているが、あまり好意的に見ていない。逆に、雅史には一目置いているらしい。もちろん初対面ではないが、特に親しいわけでもないので、お互いよそよそしい態度となる。
「何?鈴木さん」
「どうして、ちゃんと食堂で食べないの?」
 オレがカツサンドの袋を空けていよいよと言う時に視線を感じたので、視線を上げて社交事例的に話し掛けると、あかりに似た内容だが優しさの無い感じで質問される。
「今日は午後から体育はないし、パンの方が安くていいからさ」
「早起きしたら、弁当だって作れるのに作らないし、放課後に部活があったら、そんなパンだけじゃ持たないけど、本当は暇なのに楽したいというだけでそんな食事ばっかり、あかりがいなかったら、どうするの?」
「そう言うけど、俺だって晩飯はけっこう自分で作ってるから…これでいいんだ。確かに、中身ではあかりの手作り弁当には及ばないけど…。鈴木さんのは手作り?」
「手作りって言っても、冷凍食品か昨日の残りが中心ね。でも、月曜日の分はきちんと専用で作る事にしてるわ」
「やっぱり、まじめなんだな。そういう部分があかりと合うんだろうな」
 寛子も料理をするようだけど、やはりあかりとは違うみたいだ。確かに持っている弁当箱や包みにも個性が無い。あかりと違って楽しむより手間をかけずに合理的に進める反面、規則的に週始めは気合を入れるように決めている点は、彼女の実直さの現れだろう。そこがあかりのしっかりした所と似ていて気が合うんだと思う。
「でも、あかりは長岡さんとも仲がいいわ。あかりって、やっぱり聞き上手でノリが良くてそれでいて嫌味がないのよ。だから、あれだけリズムが違っても、なごんだ会話が成立するのね。私なら、無理ね。藤田くんだって、よく口喧嘩になってるじゃない」
「同性から見て、志保はどんな感じに見える?前から気になってたんだ」
 思えば、午前中に女子から志保の話をされてきたけど、まともな分析がなされていなかった。あかりに関しては親しいので良い部分が分かっている。志保についてだと、寛子ならあかりより観察眼があって、仲良く無くても色めがね無しで公平に見ていそうだ。
「そうね、この際だから一緒に食べていい?いいでしょ、別に」
 スラっと応えると思ったら、彼女も食事前だし女の子の例に漏れずおしゃべり好きみたいなので、オレと食べながら話す事に決めたらしい。
「いいけど」
「みんなは、あの志保ちゃん情報の事が印象的だけど、あれは…あの子ひとりで集めたわけじゃないから、氷山の一角よ。私から見て、問題はもっといろんな部分にあると思うわ」
 寛子も今日は同じクラスの友人が休みか何かでいないか、気分転換のつもりで弁当なのに教室から出たのだろうから、たまたまそこに居合わせたオレが都合のいい相手に見えたのだろう。まさしく、女のDNAに潜むオバサンの習性だ。落ちついた表情でオレの隣に座って弁当の包みを開いて弁当箱を開けつつ、リラックスした感じで話し始めた。
「やっぱり、あのルーズソックスか?」
「違うわ、もっと上よ。スカートが短すぎるわ。それなのに、階段とか乱暴に走って上るから、時々…見えるのよ」
 志保の仲間である内藤と長田の足元はレースクィーンが履くような光沢のあるパンストから100円のスニーカーソックスまでバリエーションが豊富だが、志保は女子高生の象徴とばかりに頑なにルーズソックスだ。しかし、寛子の指摘は別の箇所だった。うちの学校は元々短めのスカートなのに、志保は更に短かった。寛子は規定の長さに近いから特に異端視しているのだろう。セーラー服のスカートは動きやすそうだが、めくれたり見える可能性は大いにある。だいたいヤツは階段を上る時にスカートの後の部分に手をやったりカバンで隠すようなマネはしないし、見えてもしょうがないくらいのメンタリティだろう。ムダ毛も常に処理してるので、見られる覚悟もできてるようだ。この学校はそんなに厳しくないので、教師もそんなに気にしていない様子だから同級生も関心が無いと思っていたけど、ちゃんと気付いているらしい。
 男にはスカートめくりという願望が潜んでいて、誰もいない時間帯に廊下でヤツのスカートを思いきりめくってやった事がある。オレがいたずら半分なのは分かっていたらしく、まるで動じなかったが、その時は逆にオレが驚いたのを覚えている。なんと赤いパンティだったので、思わず絶句した。おまけに『スカートと同じ色だから、少し見える程度ならごまかせるじゃない』と悪びれない様子だったから、こうなったら両端から引っ張り上げて食い込ませてやろうとしたら人の気配がしたので、その時はやむなく中断させた。
「きっと、覚悟してるんだろう。それに、短いからってそれを没収してブルマを履かせるのも何かヤバくないか?」
「ブルマで思い出したけど、あの子ちゃんとおしりにフィットしてるかチェックしないのよ。水着の時だってそうだから、ちょっとおしりがはみ出るのよ。授業でもよく居眠りしてるし、無神経だわ。女の子なのに…痴漢にあわないのかしら」
 考えてみたら、志保はブルマやスクール水着が好きじゃないから、きちんと着る気もないのだろう。居眠りに関しては、夢も不健全で、夢で見たようなエッチがしたいと言って来た事もあった。確か、一方的に女がやられるというパターンで実に志保に都合のいいものだと呆れた事がある。その時だけ、あの志保がマグロなんだから笑わせる。痴漢に関しては、志保は是が非でも座席に座ろうとするし、触られて黙っているタイプでないので被害に遭う可能性は低い。しかし、休日にオレと遊びに行く時に電車の中がガラガラだったので、少し茶目っ気を出してオレがオヤジっぽい声で『最近の女子高生はいいカラダしてるなぁ〜』といいながら執拗に胸やケツを撫でまわした事がある。その時に『ヒロォ、もっとイジって〜』と露骨で挑戦的な態度に出てきたので更にエスカレートしてパンティの中に手を侵入させて弄ってやるとオレの指が濡れてきて『ねえ、このまま…ホテルにいかない?』という事態となり、志保を観念させれたものの、ティーンのデートが不倫のカップルのようになった経験もある。さすがに寛子やあかりには言えない話だ。
「それに、ドラマや映画の話になっても…下品なのよ。あの三人ときたら、すぐ恋人同士で同じ部屋にいて何も無いのはおかしいとか、すぐいやらしい言いまわしになるのよ。せっかく恋愛ドラマなのに、ピュアな見方はできないのかしら?男の子達もいるんだし、もっと気をつけるべきよ」
「男でもそういう奴らはいるけど、部室や帰り道で話したりとかもっと注意してるもんな。女子校だったら、どうしてるんだろうな」
 志保とその仲間は並の女子よりも経験や知識があるから、疑問や着眼点もやや大人っぽいのだろう。下品と言うのはヘタな官能小説よりダイレクトな単語が登場するからだな。そう言えば、志保も始めの頃はオレを誘う時『ヒロ、抱いて』みたいな口調だったけど、オレがついて行けなくなり、そう言われた時に軽く抱擁してそのまま去った事がある。それ以来、誘う時の言葉もエスカレートし、露骨で卑猥なおねだりへと変っていった。
「きっとね、欲求をきちんと発散して無いのよ。嫌ね、耳年増って。ちゃんと利口な方法があるのに」
「じゃ、じゃあ…鈴木さんはどうやって?」
 いくら寛子に洞察力があっても、志保が処女かどうかはヘタしたら親でも把握してない可能性があるから憶測の域を越えないのだろう。それでもあまりに純すぎるあかりに比べたら見事と言える。
「そりゃあ、私だって…オ○ニーくらいするわ。指だけじゃつまらないし、ローターとかいろいろあるのよ。今は通販とか便利な方法で買えるし、何より…妊娠とか病気の心配も無いしね」
「普通、そういう事って堂々と言うものなのか?」
「性欲も体の成長と共に発生してくるし、お姉ちゃんから得た情報もあって、目覚めてから実行に移すのも早かったかもしれないわ。でも、合理的な方法だと思わない?」
 たとえまじめで合理主義に見えても、性欲も肯定している点は辻褄が合っていて実に現実的だ。しかし、即物的すぎて余裕がないようにも見える。志保はオレの家でシャワーを浴びる時も、自作の曲「ふわふわ」をハミングするくらいの余裕だ。逆に友人にすらそういうそぶりすら見せないあかりだって別にうそつきでなく、単に成長がゆっくりで性への関心が薄いだけだろう。特に悩んだりしてる様子もないので、オレはそっとしてるのだ。
「経験があったら、それだけでうらやましいように見えるのが俺達の年頃だけど、鈴木さんみたいにしっかり処理できてるのも大人っぽいな。でも、無理にあかりを誘い込もうとせず、あいつの生き方もちゃんと尊重してる。もし、鈴木さんが男だったら、あかりにどうやって接していく?」
「私ね…思うの。男も女も関係ない…あの裏表の無い態度と誠実さに私も信頼で応える。そうやって、心を許し合える関係になれたわ。私は同性だから、女として汚れを知らない彼女を支え、見守っていきたいと思ってるの」
 簡単な答を期待していたオレに対し、彼女は人としての思いを語ってくれた。男の事でケンカでもしない限り、生涯の友でいるつもりだろう。
「なんか義兄弟みたいだな。鈴木さんなら、兆度お姉さん役にはぴったりだし」
「あなただって、お兄さん役の時もあるのよ。長岡さんはおませな妹か気まぐれな猫ね」
「はっはっはっ、違いない!雅史が癒し系で、志保はいやらし系だしな」
 話のきりがいい所で昼食も食べ終えたので教室に戻った。午後は腹が満たされたせいか得意でも無い科目にも関わらず、結構集中できたような気がした。少しは寛子の影響もあったかもしれない。志保の肝心な部分はオレの方が知っていたが、あかりの良さは彼女もオレに劣らないくらい理解しているのがわかった。彼女がもう少し年をとったら志保の得意分野の知識が必要になるかもしれない。志保が持つ携帯は最新型だし、街でおいしい店も知っているし、男の髪型や服装でどんなタイプかも細かく見分けられる。彼女が恋をするようになったら、あかりに相談してあかりが志保の方が詳しいと言えば、正反対の二人が引き合わされる事もあるのだろうか?



 ホームルームも終わって帰れる時間になったので、久しぶりにあかりと帰ろうと誘ったら、クマが主人公のアニメが見たいので急いで帰らないといけないと言われた。しょうがない奴だと思ったけど、今日はオレも用事があったんだ。そろそろ買い出しに出ないと夕食が食えなくなってしまう。だから、まず商店街を目指す事にした。
「ねえ、学生さん。いい店あるんだけど寄ってかない?」
「おい、志保ちゃんレーダーは男しか見つけれないのか?」
 オレが限られた予算でどんなメニューにしようか考えていると、品の無い冗談を言う少女が現れるが、オレは視線を移す事無く言い返した。なぜ彼女がオレのいる場所をすぐ見つけれるかは謎である。
「ヒロだけよ、志保ちゃんアンテナがサーチできるのは。それより、ヤックに寄ってかない?今なら半額よ、半額。それに、消費税のかからない自販機でジュース買ったらお得じゃない。それで余ったお金でゲームできるじゃない」
「もう忘れたのか?俺はな、やりくりしなきゃいけないんだ。お前みたいに遊ぶ事ばっかり考えている訳にはいかないんだよ。さて、今日のおかずを買いに行くか」
 志保はオレを追い抜いて前に出てくると、立ち止まって腕を組むとさも有益とばかりに勝手に提案してくる。しかし、いちいちのっている暇はないのでそのまま商店街のアーケードを進んでいく。
「オカズだって…ヒロも男の子ね〜。いいわ、志保ちゃんが一肌脱いであげる。最近いいプレイしてないし、今日はがんばっちゃうわよ」
「お前は性欲だけか、この痴女が。俺は晩飯のおかずを買って、家に帰ったら少し自炊して食べれる状態にしてようやく一人で食事してその後は洗い物が…」
「だったら、自炊しなきゃいいじゃない」
「うるせぇぞ!その辺でオナってろ」
 勝手に得意げに話し出すので付き合ってられないし、あまりにジコチューなのでオレもウザくなってきた。
「何怒ってんのよ、ヒロ!せっかく、アタシが総菜屋さん教えてあげようと思ったのに。すぐに食べれる状態のを買ったら、ヒロだって楽じゃない」
「何だよ、為になる志保ちゃん情報か?さては、店からリベートでも貰ってるんだろ」
「違うわ、今度のはヒロだけへの情報。いわゆる、志保ちゃんサービスよ。アタシ料理はダメダメだけど、おいしいものがある店は知ってるの。雨宮先輩も言ってたもんね、気が利くオンナはポイント高いって」
 学校の外でまで口ゲンカはエネルギーのムダ遣いなので適当に流そうとしたけど、志保の方は本気らしい。何より、雨宮理菜の名が出たときは案外まじめなのだ。彼女は他校生で年上だけど、ヤツのカリスマとも言える存在で、美人で洗練されたオトナの女らしい。
「そうだな、じゃあ案内しろよ。店で家庭の味が手に入るんなら悪くない。それが家で食べれるんだから安上がりだな」
「そう思うでしょ?食べる時も一人じゃ味気ないから、アタシも付き合うわ」
 本来なら店の場所を教えてくれるだけでいいが、志保は店だけでなくオレの家に上がり込んで食べるつもりらしい。変に徹底した部分の表われなのだ。例えばバイブの振動が調整できたら、それを挿入した以上は必ず最も強まで上げるし、オレが遊び半分でムネに触っても、最後はブラの中に手を入れて直接揉んで乳首を触ってくるように求めてくる。しかし、悪い事までエスカレートしないのは偉い部分だ。
「志保って意外と薄味を選ぶんだな。ファーストフードの影響をモロに受けてると思ったのに…」
「アタシだって、ちゃんと選んでるわよ。外国のやたら辛い漬け物とかは体に良くないから、発芽玄米とか野菜の新芽…ヘルシーな方がいいでしょ?ヒロだって、あっちに効くニラとか入ってるの選んでるじゃない」
 オレは志保に案内されて少し商店街のはずれにある店に入って買い物をした。目立たない場所にあったが、なかなかいい感じの店だった。また来よう。
「お前は俺にとっての鈴木さんかもしれないな。幼なじみ以外でアテになるヤツだ」
「何よ、アタシはあんな堅物じゃないわ。もっとかわいいし、何よりセクシーでしょ?ヒロは食後もアタシを帰したくなくなる筈よ」
「調子のいいヤツだな。何か作戦でもあるのか?」
「見てコレ、志保ちゃんメイドロボ化セット。コレ以上のヒロに効くコスプレがあるかしら?」
 久々に志保を抱きたい気分になったが、志保が何を考えているか気になったので、とりあえず訊いてみた。すると、志保はどこからかマルチがつけていたような耳飾りを取りだし、セーラー服の裾をまくってその下に来ている服をちらっと覗かせる。メイドロボが出荷時に着ているけっこうセクシーなセンサースーツを模した白い水着らしきものを着ている。ちなみにセパレートだ。早くフル装備した姿を拝みたい。こんな事は、例え恋人同士でも簡単には頼めない思う。
「ないに決まってるだろ。ったく、しょうがねえな」
「そうよ、志保ちゃんのフェロモンは強力なんだから」
 オレはそれまで離れていた志保を引き寄せ、そのまま家に向かう。普段けだるそうにしているオレも結構充実しているのだ。他のヤツらは何も知らなくても、オレ達は不純でもそれなりに理解しあえている。この関係がどれまで続くかは判らないけど、楽しめる間は楽しみたいと思う。

−FIN−

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