《癖無き馬は行かず》
元ネタ 新世紀エヴァンゲリオン

18禁
Written by 瑞雲





「どうしてあんな状態なのに、急に病室からいなくなったの!」
「それが、我々にもさっぱり…」
「何よ、それ」
 赤木リツコは自我が崩壊して廃人と化したアスカが収容されているネルフ内の中央病院で治療が進まないなかで容態の変化がないか報告を聞こうとしたが、現場では予想外の答が帰ってきて困惑していた。次々進化する使徒に対し、戦力に穴が開いた事で戦況が悪化し、先の戦いで第三東京市も崩壊してしまい、個人的にも怨恨からクローンで作られたチルドレンのストックを処分したせいで監禁されたあげく部下からもイヤミを言われるような憂き目の中で、最も新しく厄介な知らせだった。
「リツコ、大変よ」
「ミサト、今度は何?」
「弐号機とエントリープラグが何者かに爆破され、使用不能な状態なの」
「こっちも、シャレにならない状況よ。アスカが発狂して病院から抜け出したの」
「レイの戦死…首都機能のマヒ…悪い事続きね、これじゃ…いつサードインパクトが…きゃぁ!」
 個人的にはやる気を保ちながらも、現場での士気の低下や脱走兵の増加で多忙を極める葛城ミサトはつい愚痴がこぼれると、どこからか火のついた煙草が飛んできたので慌ててその場から飛びのいた。
「こんな非常時に、そんな悲観的な発言が許されると思ってるの?大体、あなた達がもっとしっかりしていれば、こんなに計画の危機的状況にはならなかったのよ。歳ばっかり食って…まったく無能なんだから!何とか言いなさいよ!」
「すいません…綾波ニ佐」
「…私達の責任です」
「そもそも、あんな不安定なチルドレンなんだからダミープラグでも用意しておくのが当然なのに、バカみたいに…まったく。早く、原因を調査するのよ。私は忙しいんだから」
 ミサトより上の階級で、厳めしい軍服を着て脱走兵や反逆者を撃ち殺す為にデザートイーグルを腰に下げているレイはかつての彼女より一回り大きく、設定年齢も従来の倍の28歳で金色の瞳をして目つきも鋭くなっているのはゲンドウが密かに用意しておいたもので、大人の体と口数の多さからしても分かるようにゲンドウの究極の操り人形であり、エヴァの操縦より知恵の付いた部下に睨みを利かす事に重きを置かれ、それを使う原因を作ったのがリツコ自身だったのは皮肉な結果である。
「何よ、アレ。まるでKGBじゃない!昔のレイなら、肩揉んでくれたり…加持くんの大きくしてくれたのに…」
「でも、あの子の言う事が正しいわ。アスカが治るかは別にして、迎撃体制の維持をアピールするためにもどうにかしないと…本部の権限が縮小されて、おかしなチルドレンが派遣されたり、幹部が全員ドイツ人になったりするかもしれないから…今は、あの子に任せるしかなさそうね」
 辛い状況でも使徒は待ってくれないのを知っている二人は、良い知らせが来ると信じるしかなかった。

「国破れて山河あり…」
 シンジはエンジン付きキックボードで市街を巡っていた。かつて少年が暮らしていた街は友人達も疎開してしまい、使徒迎撃要塞都市と呼ばれた街も、負け戦の後では倒壊した建物と人気の無さは旧東京市街の遺棄地区を思い出させるものだったが、非常時にあって大人の監視の目が届かない無いのをいい事に無断でネルフから飛び出し、破壊を免れた店舗から勝手に手頃な乗り物をゲットして人のいないエリアを乗りまわし、倒壊家屋の中でも程度のいいアパートやマンションを探していた。そして、かつて暮らしていたような物件がほどよい壊れ具合で、進入も容易で日当たりも良い基礎部分が崩れて丘にも似た状態の場所を見つけると乗り物を捨てて自力で登っていく。
「シンクロ率ゼロ…セカンドチルドレンたる資格無し…」
 ゴボゴボ…
 アスカは天井やタイルの壁すら無いバスルームでバスタブに浸かったまま青空を眺めていた。ネルフを飛び出して一番やりたかった入浴が果たせたので少しは晴れやかなはずだが、自ら行った弐号機との絶縁は自己否定に他ならならず、もはや逃避しきれない我が身を水に沈めるくらいしかできなかった。
「アスカを発見、これより保護する。アスカ・ラングレー、おい!」
「……」
「せめて、効能くらい言え」
 ようやくアスカの元に辿り着いたシンジは近くのイスに座って水面に頭頂部しか見せない同僚にジョークから入ろうとしたが、よい反応を得られなかった。
「ただの、水風呂よ。この街のライフラインがストップしてるのに、アタシは生きてるの。おかしいでしょ?」
「昔だと、考えられない事だね。入浴中のアスカにここまで接近できるなんて…」
「いいのよ、もう恥ずかしいなんて思わないから。何を着たって、自分を守り通す事なんてできないんだから…みんな脱ぎ捨てちゃえば気楽でいいじゃない。けど、最後の服をゲットしておくのも女の意地よ」
 対面が果たせてしばらく経つとシンジは状況の特異性に戸惑うが、当のアスカは動じない様子で長い浴槽に寝そべって脚を投げ出し解放感を満喫していた。
「最後って…自殺でもするのかい?」
 シンジは水の出ないシャワーのパイプに引っ掛けられた赤いワンピースが風に揺られて旗のようになっているのを意識しつつ、変に割り切った少女に問い掛ける。
「アタシは、ママとは違う。あんたに頼めるかしら?銃がいいわ…でも、シィグは嫌…ベレッタがいいわ。死の美学は…あんたたち日本人だけのものじゃないのよ」
「僕は、ネルフに頼まれて来た訳じゃない。別に、アスカを捕まえたり処分するつもりはないよ。ネルフもゴタゴタしてるせいか、誰も僕の事なんかかまわないんだよ」
 まるで事情は知らないながらもいつの頃からかアスカのいない日常に強い違和感を感じていた少年は、脱走こそ回復の証だと思って独自に行動しただけで、アスカの意図まで測り知る情報も洞察力もないが、派手な色使いのドレスとイタリア製拳銃ではちっともドイツ系らしくないと感じた。
「あんたは何も知らされてないのね。アタシはこの溢れる若さで自我を取り戻したけど、その後も周囲を欺くため、意識が無いフリを続け…精神汚染に陥ったままだと思わせといて周囲を油断させ、スキを見て病院を抜け出し…計画を実行した。ドグマに忍び込み、あたしに動かせなくなった弐号機を破壊したの。あの時の使徒は消滅したけど、あたし…あいつに負けたわ。使徒を倒せなかった上に…この街をダメにしたわ。だから、そのチルドレンとエヴァは滅びるべきなのよ。ネルフには反逆者だと思われるけど、弐号機はママとあたしのものだから人手に渡すために残すつもりはないの。わざわざ、ドイツから押し掛けてきて今までさんざん迷惑かけて…あんたには悪い事したわね、シンジ」
「アスカが自分から謝るなんて、初めてだね。でも、僕だってエヴァに乗るのを何度もやめようとしたんだけど…やっぱり、アスカは徹底してるね」
「さっき言った事、聞いてなかったんじゃない?不思議に思わないの?何で、アタシの身勝手を責めようとしない訳?」
「戦争で戦況が突然不利になる事はめずらしくないじゃないか。第一、君のウツ状態を見つけられなかったのも、心のケアを怠ったのもネルフだ。それに、僕達は似たもの同士さ。組織の犠牲者だよ…子供が戦う必然性なんてどこにもないのさ」
「今まで、あんたを誤解していたわ。父親に誉められたら戦う意味も知らずエヴァで暴れ回る無邪気なロボットオタクだと思ってたけど、実はナイーブな哲学者だったのね」
「病院で何があったか、知らないけど…とにかく、また元気な姿で会えてよかったよ。僕は…いつのまにかアスカとはなればなれでいる事が苦痛になっていたんだ。ほら、再会を祝おう!」
 アスカは自分が批判されるのを覚悟で逃走までの経緯をシンジに説明したが、シンジは父との葛藤やネルフへの不信感が常に心の奥底に潜んでいたので、任務に忠実に生きるより唯一の仲間であるアスカとの接点を重要視する部分が育ち、身軽になったアスカに気兼ねすることなくシャンペンを取り出してグラスを手渡す。
「なんで、そんな物まで用意してるの?人嫌いにとっては、廃墟で略奪する方が楽しい訳?」
「別に、いいじゃないか。今まで何もご褒美もらってなかったんだから…たまには役得も欲しいよ。なんだったら…ポルシェ博物館から一台持ってきて、富士屋ホテルまで行こうか?」
「言ったでしょ?ここから動かないわ、インパクト前からあるスポットに行く権利なんてないのよ。あたしに帰るところなんて無いんだから、ここで終わりたいのよ」
「まあ、デートの山場もこんな状況だから、動く必要ないと言えば…ないんだ。せっかくだから、乾杯しよう」「随分心得てるじゃない、シンジ。でも、アタシ…ロクに食べてないからすぐに酔っちゃうわよ?一体、何たくらんでるの?」
「アスカこそ聞き上手になったじゃないか。今回のは…本当に気が利かなかっただけさ。やっぱり、僕ってバカなんだよ」
 バスルームで酒を楽しむのも不思議な気分であったが、本来湿度の高い筈の空間で少女の全裸姿を拝みながら悠々とグラスを傾けれるのだからシンジは格別だと思った。
「そんな事ないわ、あんたは優しいし…人間が出来てるわ。ねえ、新しいファーストとはどうなの?」
「今のネルフなんて、全然まとまりがなくてダメさ。体裁を繕うので精一杯なんだ。アスカが入院した後も、使徒が出現して前の綾波が自爆してようやく倒せたくらいで、人類の悪あがきもここまでだと思うんだ。あれから何日か経って、綾波と顔を合わせたときは驚いたさ。もし、死んでてもまた似たような綾波に会えると聞いたんだけど、リツコさんがスペアを始末してたからアウトなんじゃないかと思ったんだけど…父さんが密かに用意してたのがあれなんだ。前とは、全然感じが違うんだよ…感情はあるんだ、けど…性格が悪くてさ」
「そうね、あたしも廃人のフリしてる時に病室に一度来たんだけど…いきなりしゃべりだしたから思わずビクってしそうになったし、その次の『精神汚染ごときで大げさね』には頭に来たのを覚えてるわ」
「一度じっくり話す機会があったんだけど、自分より小さいからって見下した態度だし、父さん以外全然信用してない様子で、みんなを疑っていてすぐ口を挟むし、僕に勝つ気が無いって言うからムカついて、殴っちゃったんだ。そしたら、泣き出すんだよ」
「その次は…襲ったんでしょ?犯ったのね」
 アスカはいつのまにかバスタブの角に腰掛けて喋るシンジが興味深い話題に触れるとワクワクした様子で尋ねた。
「初対面なのに、そこまでしないさ。その時は、パンストをビリビリにして…その後、一度も会ってないな」
「そう、もしかしたら『お母さんな感じ』になってたりとか、新しいチルドレンが来て同性愛に走ってるかと思ったわ」
「この僕がアスカの事を忘れるとでも…?大体、新しいチルドレンって何さ?トウジ以来チルドレンなんて…そもそもネルフなんか」
「やっぱり…ネルフよりあたしを選んだのは、あの事を根に持って父親を恨んでるからでしょ?」
「言っただろ、戦争なんだ。決戦とは総力戦の事だよ。そんなんじゃないんだ!」
 シンジはアスカと会えない間も想っていた事が伝わらないのにイラつき、勢い良く立ち上るとシャンペンのボトルをぶん投げる。
「けっこう飛ぶ…割れたわね。まだ半分残ってたのに」
「いいさ、どうせ度数の低いジュース紛いの酒だよ。君はネルフの仲間じゃない、この地上で僕と同じ立場のたった一人のかけがえの無い…」
「こんなじゃじゃ馬でも、愛してくれるの?アタシ、実はMなの。鈴原にネチネチ言葉で責められながらいじられるのを想像していつもオナニーしてたの」
「どうして、トウジなのさ。確かに、父さんよりはいいけど…。アスカがトウジとデキたら、委員長はどうなる。切ない片思いより、やれる相手を探すべきだよ」
「そうね、シンジ…アタシとセックスしない?」
「ア…アスカ?病院で変な薬打たれただろ。髪がすぐ生え変わったり、いつもぐちょぐちょ…」
「別にいつも欲情してる訳じゃないし、しいて言えばヘアが抜けたり胸が大きくなったくらいよ」
「なら、じっくり調べなきゃ。おいしい事だけして…何が悪い」
 アスカが意外な告白をするがシンジに衝撃を受けた様子は無く、むしろ誘ってきたことに驚いたが、シンジも一介の中学生で性欲もあるので周囲が無人である事に感謝しつつつ服を脱ぎ始めた。
「くくっ…」
「何だよ、まだ下は脱いでないだろ」
「違うわよ。そのTシャツ…」
 シンジが夏の制服の上を脱ぐと漢字のロゴの入った白い半そでだったのにはアスカも『無責任』の文字には少年の言動そのものだと感じ、笑いを押さえきれなかった。
「別に単語に意味はないよ。前世紀の流行の名残さ。漢字が神秘的で欧米に受けていた時期があったんだよ、だからミサトさんは未だに僕に着せようとするんだ」
「そうよね、昔のシンジも平常心なんてなかったもんね。昼はセンズリで、夜は家族サービスの日々…」
「あれは、綾波やアスカとはできないから…ミサトさんとするしか…」
「だから、今はアタシがやらしてあげるって言ってるじゃない!」
 アスカはいつものように少年をからかうと、変わることなく弱々しい反応しか返してこない様子に面白くないものを感じ、強引にズボンを下ろした。
「何だよ、さっきはトウジがオカズだったとか言ってたクセに、実は僕のが欲しくてたまらないなんて…」
「ちょっと、何うぬぼれてるのよ。アタシはお情けであんたとしてもいいって…だいたい、そのウマのトランクスって何…悪趣味ね」
「いいじゃないか、父さんとおそろいなんだから。初めて褒めてもらった日の夜に有名なイメクラに連れてってもらって、別々のコースで楽しんだ帰りに買ってもらったんだ。これはちゃんと意味があって、フェラーリのエンブレムで跳ねる雄馬のごとしってね」
「なら…早く見せて、風俗で鍛えた馬並みのを」
「そんな言い方、よせよ。普段はちゃんと…勉強してるんだ。あれは父さんとの付き合いの為さ。アスカだってケンスケやトウジとしてたクセに」
「してないわよ!」
 ガラガラ…ぐらり!
 アスカが叫ぶと同時に二人がいる瓦礫の山が揺れて傾く。
「おおっ…アスカ、今ATフィールドを?」
「バカね、今のアタシにそんな事できる訳ないじゃない。そんな事より、早く楽しみましょ」
 シンジは立っている場所の揺れをアスカが瞬時にATフィールドを壁状でなく雑に展開させたのではないかと感じたが、確かにアスカは精神汚染を受けて以来、エヴァを動かせなくなったので偶然だと思うことにした。
「なぁ、病院で何かされなかったか?」
「医者に犯られたかって、聞きたい訳?アタシはシンジとしたいのよ。恥ずかしがらないで、あたしができる体なんだから…あんただってできるわよ」
「そうだね、これ以上じらしたらアスカが一人で始めちゃいそうだな。他の事では負けても、これだけはけっこう…自信があるんだ」
「そう…始めはどっちでしてほしい?」
 ゴゴゴゴゴゴ…
「はッ!!」
 アスカが若い欲情をあらわにすると、シンジはアスカと密着できる態勢になろうとトランクスをズリ下ろしかけていると突如、地を揺るがす轟音が辺りに響く。
「この振動は…エヴァか使徒だ。この辺りで戦闘が起きてるんだよ、アスカ」
「そんな事、どうでもいいじゃない。アタシもう…濡れてるのよ。来てくれないと、オナっちゃうんだから」
「ああっ…!!視線を上げたらあんなに近くで、戦闘がッ!いかにもてごわそうな使徒とヨロヨロの零号機…大変だ」
「スズハラ…こんな所で、いきなり…指で、そんな…もっと優しく…あっ、だめぇ」
「かーッ!!この緊急事態にひとりH…?!ダメだ、アスカ。早く逃げよう」
「いいわ、スズハラ…もう見られたってかまわない。思いっきり…そんなにコリコリしたら…感じちゃう!はあぁっ…もうガマンできない!入れてぇ、スズハラ」
 シンジは以外と近くで戦闘が起きている事に気付き、すぐにトランクスをズリ上げて被害が及びそうな現在地から逃れようとアスカにも呼びかけるが、すっかり自分の世界の少女はまぶたを閉じ、自らの割れ目に指をさし入れてバスタブからはみ出させた脚をひくつかせて悶えていた。
「何やってるんだ、アスカ。逃げないと、踏み潰されるぞ!」
「ああっ…やめないで、スズハラ。ねぇ、ヒカリよりいいでしょ?いいわ、もっと…奥まで突いて!」
「おいっ!戦えなかったら、戦いの邪魔しないぐらいの気遣いができないのか!」
「スズハラ…最高よ、来てぇ…濃いの出して、一緒に…ッ」
「黙れっ!トウジがお前ごときエロ女とするわけないだろ、来いッ」
 女性はイメージや過去の経験を反芻して欲情する言われているが、アスカの妄想と欲求不満は激しく、強力な使徒と弱そうなエヴァの余波を受けかねない距離から急いで避難したいシンジが彼女をバスタブごと蹴ったりしても少女は視覚さえ必要としない分、集中力が強く、使徒に踏み潰されたりエヴァの下敷きになりかねない恐怖さえ克服してすでにアクメに近かったが、シンジは旗色の悪い戦いに巻き込まれてはたまらないと思い、アスカをかついででも退避しようとバスタブから強引に引っ張り出そうとした。
「ぐあッツ!?」
 ドカーーン!
 アスカが絶頂に達しようとした寸前にシンジが体に触れた事で強烈な刺激や甘美な妄想が醒めた瞬間、ものすごい爆発が起きた。
「ひいッツ!」
 アスカを中心にした爆発で、シンジは衝撃で宙に飛ばされたが偶然外国製ベッドの上に落ちて無傷で立ちあがろうとすると、二次爆発が起きたので転がるようにして近くのコンクリート壁の裏に逃れ、衝撃と閃光が収まるとそれが使徒が爆死した際のものだと気付いた。
「いてて…もしかして、さっきのアスカが…使徒を?」
 シンジは硬い地面を転がったせいで軽い痛みに見まわれたが、堪えて立ちあがるとアスカのいる場所から結構離れているのと見事に使徒が消滅し、なぜか零号機がぶっ倒れた状態で地面にめりこんでいたり、アスカが自らの指で悶えていたバスタブが真っ二つに割れてそこから使徒まで一直線に地面が切り裂かれているのを発見した。
「どうしてくれんのよ、もう少しでイケたのに!このインポ、ダメシンジ!」
「お前は…オナニーしきれないと、エヴァなしでATフィールドが張れたり、そいつで使徒を一刀両断にできるのかーーー!」
「うるさいわね!使徒なんて、あたしには関係ないのよ。あんなに燃えたのは初めてだったのに…あの快感を返して!」
「いやぁ、実に恐ろしい…僕なんか、エヴァでなきゃ暴走できないのに、アスカ…君はそのままで、理性のタガを外してエネルギーを暴走させれるなんて。もうシンクロ値なんて必要ないし、プラグスーツもいらないね」
 図らずも戦闘がネルフの勝利で終わると、二人はユニゾンで使徒を倒した時のように口論になったが、少し成長したシンジは冷静にアスカを分析したがパンツ一丁ではあまりさまにならず、むしろ全裸にシンジのシャツだけを着たアスカの方が絵になっていた。
「アタシは頭の中で弾けれれば、それでよかったのよ。妄想ででも、満たされたかったのに…あんたがまたチルドレンに戻したんじゃない」
「違うよ、終わってみれば…汗馬の労さ。新しい綾波が君の分まで働くと思ったけど、実際は成りだけの役立たず…馬と武士はみかけによらぬ。逆に、君はエヴァを必要としない段階まで成長していた。人造人間にまさるヒトだ。問題はどう力をコントロールするかだよ」
「ファーストに勝てたのはうれしいけど、またネルフに利用される訳?まるで馬車馬じゃない」
「馬車馬なんかじゃないさ、君はサラブレットなんだよ。周りの世話や調教が不可欠なんだ。それより、縄やばいぶは好きかい?」
「そりゃ…好きだと思う…けど」
「そうか。これからはエントリープラグがコケシのサイズになってリモコン式で、触媒がLCLになる線が有力になりそうだ。君の変態パワーが人類を救う…」
「今まで…自分の本当の姿を知られるのが恐かったけど、これからはありのままで…みんなに認められるのね!でも…ミサトに軽蔑されないかしら」
「相手変れど主変らずってね、馬は馬連れさ。アスカ…もう悩む必要なんかないんだ。じゃじゃ馬けっこう、欲に染まってるくらいで丁度いい…癖無き馬は行かずってね」
「けど、もしアタシが実験よりセックスが好きって言ったら、シンジ様はどうする?」
「喜んでハメるに決まってるじゃないか!僕は、外ン道の息子だよ。精力では負けないさ」
「あんた大物ぶってるけど、目前に迫った危機にはどう対処するわけ?」
「危機って、何さ」
「アタシ達は今、零号機の影にいるわけだけど、ヨロヨロで…今にも倒れそうなのよ。賢明なシンジ様だったら、ネルフが誇る変態のアタシに何て命じる?」
「逃げなきゃダメだー!」
「好きよ、本能的な男って」
 シンジはアスカが入院している間に話術も鍛えられていたせいか、うまくまるめこんで今後の主導権を握ったかに思われたが、内気な少年の視野は意外と狭く、エヴァの下敷きになりかねないチルドレンにとってはシャレにならない状況から逃れるため、臆病さをさらけ出して必死に走り出した。

−FIN−

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